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静音化技術の別表現

 軸のねじ溝をボールが通過するときに発生する音を「ボール転走音」と呼ぶ。実はもう1つ、ボールがナット部にある通路を通るときに生じる「ボール循環音」もある。ボール循環音はかん高く、一定範囲の周波数の音がほぼ一様の強さで出るため、楽器のような音には聞こえない。Ball Screw PLAYERは、ボール循環音を抑える一方、ボール転送音を意図的に発生させ、演奏に利用する装置である。

 ボール循環音を抑える技術は、2000年代前半に製品化した「高速・静音ボールねじ」に用いたものと同じ。ねじ溝からボールをナット部内の通路へ引き上げるとき、以前のボールねじはナットの入り口でボールの進行方向が急に変わるため、ボールがナットの通路内壁に衝突したり、後ろのボールが追突してきたりするため、かん高い音が発生していた。そこで、ボールの向きを急に変えないように、軸の接線方向に引き上げるエンドデフレクターなどによって低減している。

 日本精工は、さらにボール転走音も抑えた「高速・静音IIボールねじ」を2014年に発売した(図3)。そこで得た知見を基に、静かにすることと同様に音を意図的に操作できるぐらい発生メカニズムを把握している、という技術力を示す目的で展示会で出展するために製作したのがBall Screw PLAYERだ。

図3 高速・静音IIボールねじ
図3 高速・静音IIボールねじ
「ボール循環音」と「ボール転走音」の両方を抑えたボールねじ。この開発で得た知見により、「ボール循環音」を抑え、「ボール転走音」を際立たせることで「Ball Screw PLAYER」を実現した。
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 同社の若手技術者グループが約10カ月をかけて研究、製作した。最初に試作したのは1音階分のボールねじ(ミュージックボールねじのタイプ)。「造ってみるまでうまく音が出るかどうか分からなかったが、最初の試作品が実際に鳴っているのをみて『本当に音が出る』と感激した」という。デザイナーにも参加してもらい、青い照明を下から当ててねじ溝を際立たせる演出も加えた

* 音の大きさ(A特性音圧レベル)は「約2m離れても80dB以上」と十分だったが、展示会場での聞こえ方を調整可能にするため、周囲を囲った上で、加速度センサーで振動を検出し、スピーカーを鳴らしている。


動画で演奏の様子をご覧ください