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設計を変えずに生産設備で対応

 LCDの取り付け工程には、他の工程にはない工夫を盛り込んだ。樹脂部品であるハウジングには、LCD保持用のツメなどによるオーバーハングがあり、組立時にはこのツメを動かしておき、さらにLCDを斜めに入れる必要がある。手作業ではそれほど難しくないが、自動装置ではワークを傾けてツメを広げておき、そこへLCDを入れ、やや水平方向にスライドさせる動きも加える必要がある。「この動きが最も難しいと思われたので、最初に検討した」(カシオ計算機時計事業部開発統括部統括部長の河合哲也氏)*3

*3 自動化に合うように製品設計の方を変える選択肢もあるが、同社は製品設計を変えないことを基本方針とした。その理由は「少しでも変えると、市場でニセモノと勘違いされてしまうから」である。ロングセラーであるため、海外では模倣製品も多く出回る一方で、本物への信頼性が極めて高いため、製品は変えるわけにいかないという。

 電池と、電極を兼ねた地板は、1工程で組み付ける。吸着軸でまず地板をピックアップし、さらに地板中央の穴を通して電池を吸い付け、その状態でハウジングに載せる。地板周囲の4カ所には固定用のフックがあり、その付近を押さえることでフックがハウジング側のツメにはまり込む。地板がハウジングに対してずれると、このフックが入らなくなるため、やはり高精度での位置決めが必要になる。フック付近を1カ所ずつ4回押さえる機能も自動化装置に設ける。

 モジュール完成後、その先には動作確認を経たモジュールをケースに入れて時計として完成させる工程、さらにバンドを付けて梱包する工程がある。ケースに入れる工程については2017年10月以降に自動化設備の開発を進める。量産時にはバンドを付ける前までを自動化したラインになる見込みだ。