PR

「すみ分け」はユーザーが決める

―トヨタ自動車は「EVが近距離用途」「HEV・PHEVが乗用車全般」「FCVが中・長距離用途」という未来予想図を公表してきた(図3)。最近のEVの航続距離は400kmまで延びているが考えは変わらないのか。

図3 電動車両に関する未来予想図
図3 電動車両に関する未来予想図
(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

安部氏:航続距離400kmではまだまだ足りない。EVは「電欠(電池切れ)」が心配なので400kmだとユーザーは300km以内でしか使えない。負荷が高いほど損失が2次関数的に増えていく問題もある。航続距離表示が残り400kmでも高負荷をかけると200kmしか走れない可能性もある。充電にも問題もある。エンジン車は航続距離500kmのためのエネルギーを3分間以内で充填できる。EVでは急速充電でもそのレベルには全く届かない。

 我々は皆様に買っていただけるEVの開発を目指してはいる。しかし、現状の技術の進捗で言えば課題が山積みで「すみ分け」のイメージは現時点では変わっていない。

―将来の主力車はPHEVか、それともHEVか。また、エンジン車はなくなるのか? カリフォルニア州のZEV(無公害車)規制、中国のNEV(新エネルギー車)規制対応についての考えも聞きたい。

安部氏:エンジンだけで走る車が今後辛くなるのは間違いない。HEVでも環境性能が足りなくなる時代が来るかもしれない。いろいろな観点から電動車両の「すみ分け」は進んでいくと思う。我々はどのような変化が訪れても適応できるように全方位で開発している。

 北米のZEV規制はゴールドクレジットとシルバークレジットのカテゴリーに分かれており、前者はPHEV、後者はFCVの拡販を考えている。一方の中国では中国のユーザーが好む環境車をベースに量を出し、それでNEVへの対応ができればベストだろう。

 中国のユーザーは単純に使いやすさだけで新エネ車を選ばない。上海市はPHEVにもEVにも補助金が出るし、市内乗り入れへの優遇措置もある。そのため上海市では新エネ車の7割がPHEVだ。一方、北京市のようにEVにしか補助金を出さない地域では比率が逆転する。