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 帝人と関西大学は、ポリ乳酸を用いた新しい圧電体2種を共同開発した。ポリ乳酸の形状を整えることで、特定の効果が得られるようにしたのが特徴だ。

2種類のポリ乳酸を併用

 開発品の1つは2016年12月に発表したもので、ポリ乳酸のフィルムを積層した圧電体(圧電積層フィルム)をロール状に巻いた「圧電ロール」(図1)。外部から力を加え続けると、最大2分ほど電圧を出力できる。これはロール状になったことで、積層フィルムが荷重を受けやすくなり、発生する電荷の量が増えたためである。一般的な圧電体では電圧を出力できる時間が数百μsほどにとどまっていたが、出力時間が大幅に増加するという。

図1 ポリ乳酸の圧電積層フィルムを巻いた「圧電ロール」
図1 ポリ乳酸の圧電積層フィルムを巻いた「圧電ロール」
帝人と関西大学が開発した(a)。圧電積層フィルムはポリ乳酸の光学異性体であるポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)、および電極となるアルミニウムを交互に積層したもの(b)。これをロール状に巻回することで出力時間を拡大した。
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 延伸したポリ乳酸のフィルムは、圧力を加えると正と負の電荷がフィルムの表裏に分かれて発生する。圧電ロールはこの特性を生かし、ポリ乳酸の光学異性体であるポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)、電極となるアルミニウムを交互に積層した圧電積層フィルムを、数百〜数千回巻いて作製した。出力電圧は圧電ロールにかける荷重の大きさに比例し、「0.001~100kgfの間で電圧が生じる」(関西大学システム理工学部学部長教授の田實佳郎氏)。ロールの巻回数によって出力の持続時間を調整できるという。

* 帝人と関西大学は、2012年9月にポリ乳酸を使った圧電積層フィルムの開発を発表している。

 立体構造が互いに鏡像であるPLLAとPDLAのフィルムは、製造工程が同じでも電荷の正負が表裏逆に発生する。圧電積層フィルムはPLLAとPDLAのフィルムを積層することで、多くの電荷を発生できるようにしている。

 PLLAもしくはPDLAのみで圧電積層フィルムを生産しようとすると、電荷の打ち消しを防ぐため1枚おきにフィルムを裏返した上で、配向がそろうようにフィルムの向きを変える必要がある。工程が複雑で連続生産が難しくなることから、電荷が逆に発生するPLLAとPDLAのフィルムを組み合わせて重ねている。