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CNF強化樹脂を大量に安く生産

図2 CNF強化樹脂の実証生産設備
図2 CNF強化樹脂の実証生産設備
疎水化処理を行う原料パルプの疎水化設備(a)。CNFと樹脂を混練するCNF強化樹脂混練設備(b)。 写真:日本製紙
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 実証生産設備は、日本製紙が京都大学などと共同開発しているCNF強化樹脂の生産手法「京都プロセス」を基にしている1)。京都大学にある実験用設備と比べると「今後のスケールアップが容易で、CNF強化樹脂をより安価に生産できる」(同社CNF研究所所長の河崎雅行氏)という。

 今回、CNF強化樹脂の生産効率を高めるため、京都プロセスに改良を加えている。その1つが、混練前のパルプと樹脂の軽い混ぜ合わせ工程だ。

 京都プロセスでは、まず植物繊維であるパルプに疎水化の化学処理を施して変性パルプを製造する。次にその変性パルプを射出成形機に投入し2軸押し出し機で混練してCNF強化樹脂を得る。射出成形する工程(1工程)において、パルプからCNFを抽出するナノ化と樹脂中へのCNFの分散という2つの処理を同時に行う*2

*2 京都プロセス以前は、まずパルプに機械処理を施してCNFを得た後、脱水・化学処理を施して変性CNFを造っていた。樹脂に混ぜ込む前に一度CNFを製造する必要があったため、価格が今より高かった。

 今回の実証生産設備ではCNF強化樹脂を製造する際、射出成形機に投入する前に変性パルプを樹脂と軽く混ぜるようにしている。パルプと樹脂を均一に混ぜるとともに、混練前に力を加えてパルプがほぐれやすくすると、CNF強化樹脂が効率的に生産できる可能性があるからだという。

 日本製紙はCNF強化樹脂で今後、ユーザー企業が求める品質の早期達成を目指す。特に自動車分野での用途開発を重視しており、環境省の事業「NCV(Nano Cellulose Vehicle)プロジェクト」向けに開発を進めている。NCVプロジェクトを通じて、既にデンソーやトヨタ紡織などの企業にCNF強化樹脂をサンプル提供しており、エンジンカバーやドアパネル、ヘッドランプ、内装部品といった部品の将来的なCNF化を狙う。

 ただし、現状のCNF強化樹脂には実用化に向けた課題が多い。特に問題なのはCNFとPPの複合材で良い性能が出ていないこと。CNF自体のコストの高さも解消されていない。

 日本製紙は実証生産設備の稼働を機に、課題の解決を加速する考え。「PPとうまく混ぜられればCNFの需要が増えるのは間違いない。PPに混ぜる技術を早期に確立したい」(同氏)としており、疎水化の手法や新しい添加剤などを模索していく。開発の強化の一環として、2017年9月をめどに、「富士工場へCNFの研究拠点を移転する」(日本製紙副社長研究開発本部本部長の山崎和文氏)という。