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「炭素繊維強化樹脂(CFRP)は環境対応車に無くてはならない存在」と語るのが、「技術者塾」において「クルマの軽量化の切り札CFRPを使いこなす」〔2015年11月25日(水)〕の講座を持つ、金沢工業大学教授の影山裕史氏だ。トヨタ自動車時代にCFRP製ボディーを採用した高級車「レクサスLFA」の開発を手掛けた同氏に、CFRPへの期待や課題について聞いた。

──自動車業界において、CFRPは今、最も注目されている材料と言っても過言ではありません。なぜ、それほど注目を集めているのでしょうか。

影山氏:まずはやはり、大幅な軽量化への期待でしょう。車体に全てCFRPを採用すれば、主に鋼で出来た現行のクルマに対して5割以上軽くすることができるはずです。車体を軽くできれば、当然、燃料消費量を少なく抑えられる。すると、現在自動車業界で過熱している低燃費競争で優位に立てる可能性が高まります。

 しかし、CFRPの採用に積極的な自動車メーカーは、さらにその先を見据えています。そうした自動車メーカーは、CFRPを単に軽量化材料の選択肢の1つとする考えに留まってはいません。実は、「CFRPを使わなければ、環境対応車を成立させることはできない」とまで考えているのです。

 環境対応車の中に、電気自動車(EV)があります。ガソリンエンジン車とは違い、EVには200kgを超えるような重いバッテリーを搭載する必要があります。バッテリーが重い分、それをできる限り吸収するように軽い車体を設計しなければ、製品となるクルマとして成り立たせることができません。重いバッテリーを積んだ上に車体が重いままでは「電費」が悪すぎて、とても環境対応車とは呼べなくなってしまいます。

 例えば、ドイツBMW社が開発したEV「i3」。CFRP製ボディーを採用することでバッテリーの重さを吸収し、車両質量を1260kgに抑えました。約1400kgの一般的なエンジン車よりも軽くしたのです。BMW社の設計では、CFRPでなければi3を成立させることができなかったはず。逆に言えば、CFRP製ボディーを設計できたからこそ、i3は「量産車」として発売できたのです。