PR

競合に勝てない、品質不具合が減らない

─体系化された開発設計プロセスを持っていない場合のデメリットを教えてください。

寺倉氏:先行開発プロセスは、性能およびコストにおいて世界で優位に立つための原動力になります。つまり、「世界No.1製品」のポテンシャルを創り上げる活動です。この部分がなければ、当然、世界の競合を凌(しの)ぐ製品は設計できません。

 一方、量産設計プロセスは、お客様の信頼を得る活動です。体系化した量産設計プロセスを持たずに図面を作成した場合、品質不具合を一向に減らせません。検査作業を削減できず、市場不具合やリコールの件数を抑えられなくなってしまいます。

 日本企業では「開発設計(プロセス)を良くしよう」と聞くと、その狙いは「品質を高めること」と考える人が多い。この目的を満たし得るのは量産設計プロセスです。確かに、量産設計プロセスについてはある程度開発設計プロセスを確立させている日本企業があります。

 これに対し、先行開発プロセスに対する意識は低く、開発設計プロセスの中でも先行開発プロセスの取り組みを実践している日本企業は極めて少ないというのが現状です。きちんと体系化された先行開発プロセスを持っていないことが、近年、欧米企業に対して魅力的な製品を生み出せていないことにつながっているのだと思います。

寺倉 修(てらくら・おさむ)
ワールドテック代表取締役、元デンソー開発設計者
実務経験に基づく真の「設計力」を定義し、実践的設計論を説く設計分野の第一人者。1978年に日本電装(現 デンソー)入社。車載用センサーとアクチュエーターの開発や設計業務に従事。日本初のオートワイパー用レインセンサーを開発して「レクサス」への搭載を実現した他、20種類以上の車載用センサーやアクチュエーターを開発・設計した経験を持つ。2005年にワールドテックを設立。製造業への開発・設計・生産などの技術を支援。日経テクノロジーオンラインで連載コラム「設計力の魂─デンソーで鍛えられた実践的設計論─」を執筆中。