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 次に副社長でチーフエンジニアの岸信夫氏が飛行試験の結果を説明した。離陸は午前9時35分で着陸は午前11時2分、飛行時間は1時間27分だった。太平洋上の防衛省の飛行訓練区域を飛行し、上昇、下降、旋回などの基本特性を確認した。高度は1万5000フィート(約4600m)で最高速度は時速280㎞だった。脚とフラップは下げ位置で固定し、ほぼ計画通りに飛行したという。

 「離陸時に機体はふわっと浮き上がり、上昇する間もずっと安定していた。シミュレーターで訓練・検証を数年間続けてきたが、まさにその通りに飛んだ。全く違和感を感じなかった。これまで経験したさまざまな機体の中でも(MRJは)トップクラスの操縦性、安定性などの非常に高いポテンシャルを持つ」。MRJの操縦を担当した機長の安村佳之氏はこう語った。

 質疑応答で、とりわけ印象的だったのはチーフエンジニアの岸氏のコメントだ。開発を担当するエンジニアとしての本音を包み隠さず語った。初飛行の前夜は心配で、よく眠れなかったという。

 「不安で不安でしょうがなかった。エンジニアは概して心配性だ。(パイロットには)安全だと言っているが、万が一のためのバックアップも考える必要がある。何かあった時は、乗員を絶対に安全に帰すために何をするのか。機体が安全に戻ってくるのは当然だが、心配で心配で仕方なかった」
 
 「(昨夜は)2時半に目がさめた。メールが来るとまた寝れない。MRJの駐機試験の頃からも心配で仕方がなかった。(MRJの初飛行中も)飛行試験のデータをモニターして、大まかな飛行機の状態や、あるいは飛行中の実際のビデオ映像を見て、まさかの時に備えていた」