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講演する国立精神・神経医療センターの松田博史氏
講演する国立精神・神経医療センターの松田博史氏
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 日本画像医療システム工業会(JIRA)は2015年12月9日、「精神疾患(認知症、うつ病)の予防と診断と治療-画像診断とロボット技術の応用-」と題した研究会を開催。国立精神・神経医療センター 脳病態統合イメージングセンター長の松田博史氏が登壇し、認知症における画像診断の方法と課題を紹介した。

 講演では、まず松田氏が中心となり、エーザイや大日本印刷と協力して開発した「VSRAD(Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimer's Disease)」というソフトウエアを紹介した。同ソフトはMRIで取得した脳の画像をたんぱく質、白質、脳脊髄液に分離し、ボクセルという3次元の単位で対象の脳と比較する。標準偏差をベースとした「Zスコア(正常な脳とどれだけ離れているかの値)」を算出し、値が大きいとそれだけ認知症の疑いが強くなる。

 アルツハイマー病の病理には老人斑と神経原線維変化があり、「老人斑は発症の15~20年前に始まる」(松田氏)。脳は加齢に伴って萎縮していくが、アルツハイマー病の患者はその数倍の速度で萎縮が進む。そのため脳の変化を捉えることで早期の診断ができるようになるとした。ただ、65才未満で早期に発症したアルツハイマー病では異なる部位の萎縮が顕著になる場合があり、脳全体の萎縮を見る必要がある。

 同ソフトは2005年にリリースされ、2009年に「同Plus」、2012年には「同Advance」とバージョンアップしている。2015年にはレビー小体型認知症を診断するための指標を追加した「同Advance 2」をリリースした。レビー小体型はパーキンソニズムを発症することが多く、転倒などのリスクがアルツハイマー型より高い。レビー小体型の鑑別機能も重要だとした。両者は特徴的な脳の萎縮部位が異なるため、それぞれの萎縮度の比率を指標とした。同Advance 2の他にも、脳血流に違いがあることから「脳血流SPECT」、ドーパミンの量が著しく減少することから、ドーパミントランスポーターを計測するSPECTの検査も有効と紹介した。

 また臨床経過が典型的でなく混合型の病因が推察される場合や、早期に発症した認知症がアルツハイマー型であるかを診断するのには「アミロイドPET」が利用できると述べた。アミロイドベータたんぱく質が老人斑の主因となるためだ。陰性の画像では老人斑が少ないため、アルツハイマー型の可能性は低いと診断できる。ただし健常者でも高齢になると陽性になりやすい、レビー小体型でも陽性になることが多いといった問題もあるとした。

 最後にタウたんぱく質の蓄積量を計測する「タウPET」を紹介した。タウたんぱく質は神経原線維変化を引き起こす主因だ。内側側頭部に溜まりやすく、症状が出る前に検出できるためアミロイドPETと併用して早期治療に役立てられるとした。