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 2017年1月4日、米Tesla Motors社(以下、Tesla社)はパナソニックと共同で、米ネバダ州で世界最大のリチウムイオン2次電池工場「Gigafactory(ギガファクトリー)」を稼働させた。2014年6月から建設を進めてきた同工場はこのほど竣工し、リチウムイオン2次電池のセルの生産を開始した。

 工場のオープニングセレモニーには、Tesla社の会長兼最高経営責任者(CEO)のElon Musk氏とパナソニック社長の津賀一宏氏が出席。その後、共同会見を開いた。

図1 Tesla社のElon Musk氏(真ん中)とパナソニック社長の津賀一宏氏(右)
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図1 Tesla社のElon Musk氏(真ん中)とパナソニック社長の津賀一宏氏(右)

 「ペンタゴン(米国防総省の本部ビル)の3倍以上のサイズになる世界最大の工場で規模のメリットを追求し、電池を低コスト化する。長距離走行できる電気自動車(EV)を安価にして、みんなの手が届くようにしたい」。Musk氏はこう強調した。

 「電気をためてクルマが走る時代が来る。社会を変えるためには電池をいかに有効活用するのかが大事で、だからこそパナソニックはGigafactoryへの投資を決断した」と津賀氏は語った。

 Gigafactoryへの総投資額は50億米ドル(約6000億円)で、パナソニックの投資額は1500億~2000億円程度になると見られる。現在は工場全体の約30%が完成した段階で、段階的に投資を続けて生産能力を拡大する。

図2 Gigafactoryの外観。一部で生産を開始したが、まだ建設中の建物が多い
図2 Gigafactoryの外観。一部で生産を開始したが、まだ建設中の建物が多い
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 同工場が生産する電池は、Tesla社が2017年半ばに量産を開始する予定の小型セダンのEV「Model 3」に搭載される予定。「2170」と呼ばれる直径21×長さ70mmの電池で、現在の主力車である中型セダンの「Model S」や多目的スポーツ車(SUV)の「Model X」向けの直径18×長さ65mmの電池よりも一回り大きい。セル当たりの容量を高めるのと同時に生産効率も向上させられるとする。

図3 Tesla社の小型セダンのEV「Model 3」
図3 Tesla社の小型セダンのEV「Model 3」
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 Model 3のベースモデルの価格は3万5000米ドル(約416万円)から、と手ごろだ。Tesla社のModel SやModel Xの半額程度の水準になる。

 EVの低コスト化のカギとなるのが、部品コストで最大とされる電池コストだ。電池コストを大幅に引き下げるのに、Gigafactoryが重要な役割を果たす。集中生産で規模のメリットを追求することに加えて、パナソニックなどの電池メーカーや材料メーカーと協業して、材料から電池セル、電池パックまでを一貫生産することで、電池パックのkWh当たりのコストを30%以上削減する。

 電池コストの低減で車両の本体価格を安くしつつも、Model 3は1回の満充電で走行可能な距離(以下、航続距離)を215マイル(346km)以上にする。EVの課題とされる航続距離を十分に確保している。

 Model 3は既に37万台以上の予約を獲得している。米国での予約金は1000米ドル(約12万円)で、新規予約する場合の引き渡し時期は2018年半ばごろを見込む。

 好調な予約を受けて、Tesla社はModel 3の量産拡大を当初計画から前倒しする。米カリフォルニア州のフリーモント工場では、EVの生産能力を2018年にも年間50万台にする。フリーモント工場はTesla社が買収する前は、トヨタ自動車と米General Motors社の合弁工場「NUMMI」だった。当時は年間50万台の生産能力を持つ工場だったため、Model 3の増産は十分可能とみられる。