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 JVCケンウッドは、海外向けの小型無線通信端末「PKT-23」のEMI対策について講演した。この講演は、NECとNEC情報システムズが2016年1月20日に催した「プリント基板ノイズ対策セミナー」で行われた。

図1●首から下げられる無線通信端末 JVCケンウッドのスライド。
図1●首から下げられる無線通信端末 JVCケンウッドのスライド。
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 登壇したのはJVCケンウッドの藤井 利一氏(無線システム事業統括部 技術開発推進部 技術推進グループ チーフ)である。PKT-23はUUF帯を使う無線通信端末で、ホテルや工場といった場所で従業員の連絡などに使う(図1)。首から下げても使えるように、小型軽量化を図った。このため、「当社の無線通信端末ではアルミダイキャストの筐体が多いなかにあって、PKT-23はプラスチックの筐体で遮蔽もシールド板1枚という構造になった」(同氏)。

 EMI的には厳しい構造である。実際、試作品では、3.6GHzにおいて、仕様に対して9.4dB大きい雑音が出てしまった。この雑音対策に、3つのツールを使った。NEC情報システムズのプリント基板のEMIチェックなどを行うツール「DEMITASNX」、NECエンジニアリングの磁界強度分布測定用スキャナー「4EM500」、米Keysight Technologies社の2.5次元電磁界解析ツール「ADS Momentum」である。

 DEMITASNXと4EM500はEMI雑音の発生状況の分析や対策の検討に使う。対策を盛り込んだ設計にCADデータを変更し、その対策が有効かどうかをADS Momentumで判定する。

問題箇所を確認

 今回の試みでは、最初に、PKT-23のプリント基板に載っているRF ICの電源ピンと送信ピンから雑音が発生していることをスペクトラムアナライザーを使って確認している。そこで、DEMITASNXを使い、当該ピンが含まれるネットが影響を及ぼしそうな範囲を調べた。すなわち、同ネットと5mm以上並走するプリント基板上のパターンをチェックした。藤井氏によれば、5mmはDEMITASNXのデフォルト値であると共に、同氏の経験値でもあるという。チェックの結果、対象ネットと並走する箇所は多く、影響は広範囲に分布することが分かった。

 続いて、4EM500を使い、プリント基板の近傍磁界分布を調べた。4EM500では、磁界強度によって、色が変わるため、問題が発生しているネットの箇所が分かる。例えば、電源ピン付近と送信ピン付近は磁界強度がかなり大きく、それらのピンから電気的に接続している箇所も磁界強度が大きいことが確認できた。磁界強度が大きな箇所は、DEMITASNXを使って5mm以上並走するパターンがある箇所とも一致していた。

■変更履歴
JVCケンウッドからの申し入れにより、この記事の掲載当初の図の一部を削除したり、変更したりしました。それに伴い、本文も一部修正しました。