フェーズ4では太陽熱発電を採用
イノベーションセンターは、MBRを訪れる見学者や視察者に持続可能性やクリーンエネルギー技術に関する啓もう活動を行う目的で建設する。
地上4階建て、全高90mと高く、MBR全体を一望できる展望台を併設する。周囲に高い建築物が他にない砂漠では、かなり遠くからも見えることになりそうだ。
今回の取材ツアーでも、報道陣一同が乗車したバスがMBRに向かって走っていた時、建設中のイノベーションセンターが真っ先に視界に飛び込んできた(図3)。
研究開発センターは2020年の完成を予定しており、DEWAによると太陽光発電、スマートグリッド、省エネルギー、太陽光による淡水化、という主に4つの技術分野で研究や開発に取り組むという。
今回、公開されたのはMBRの「フェーズ3」と呼ばれる段階のプロジェクトで、用地の面積は16km2、連系出力は800MW(表1)。
フェーズ | 連系出力 | 稼働時期 | 技術 |
---|---|---|---|
1 | 13MW | Oct-13 | PV (CdTe) |
2 | 200MW | Mar-17 | PV (Si) |
3 | 800MW | Apr-20 | PV (Si) |
4 | 700MW | Jun-22 | CSP |
MBRのフェーズ1(容量13MW)とフェーズ2(同200MW)は、既に完成しており、現在稼働中である。フェーズ4では太陽光発電ではなく集光型太陽熱発電所(CSP)を建設する(関連記事3)。CSPは、構造的にエネルギー貯蔵(蓄電)機能も持っているためだ。
蓄電池を併設しない限り、太陽光発電だけでは夜間や曇天時に十分な電力の供給ができない。CSPを併設すれば、ドバイの夜間の電力需要の相当分を賄うことが可能とみられる。
DEWAがCSPをMBRの一部に組み込んだ背景には、マスダール社がアブダビに建設し現在稼働中のCSP「Shams-1」(出力100MW)でその有効性を確認したこともある(図4)。
ただ、今後Liイオン電池のコストがさらに下落すれば、フェーズ4以降では太陽光発電と定置型蓄電池の組み合わせがCSPを駆逐する可能性もある。