米EIAが公開した「2017年エネルギー年次見通し(AEO2017)」の概要
図1●米EIAが公開した「2017年エネルギー年次見通し(AEO2017)」の概要
(出所:EIA)
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参照ケースで2030~2040年に太陽光が新設容量の50%以上を占めるとの見通しを示した
図2●AEO2017では、参照ケースで2030~2040年に太陽光が新設容量の50%以上を占めるとの見通しを示した
(出所:EIA)
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 米エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)は1月5日、「2017年エネルギー年次見通し(AEO2017)」を公開した。AEO2017では、米国のエネルギー市場を8つのシナリオに基づいて2050年まで予測している(図1)。

 8つのシナリオは、基準となる参照ケースに加え、経済成長、原油価格、石油・ガスの資源と技術、「クリーンパワー計画(Clean Power Plan)」の実施などの要因を考慮して策定している。市場や技術、資源、政策の不確定さなどが、将来のエネルギー市場に影響する可能性を反映させているという。

 石油の輸入が減少し天然ガスの輸出が増加するため、ほとんどのシナリオで米国が化石資源の純輸出国になると見ている。

 石油・ガスの資源と技術のプラスが大きいシナリオでは、地質や技術に関する開発が順調に進展し、石油・ガスを低価格で生産できるため輸出が最も伸びる。また、石油価格が上がるシナリオでは、生産者の収益が伸びる一方、米国内の消費が抑制され、最も早く化石資源の純輸出国に転換する。

 ただ、石油・ガスの資源と技術のプラスが大きいシナリオを除くすべての場合で、化石資源の輸出量は2030年代に減少に転じるという。

 エネルギー消費に関しては、すべてのシナリオにおいて増加方向とした。参照ケースでは、全エネルギー消費量は2016年から2040年までの期間に5%増加する。エネルギー消費の相当量が経済活動に関連するため、高経済成長のシナリオでは、エネルギー消費は約11%増加、低経済成長のシナリオではエネルギー消費はほぼ横ばいと予測している。

 一方、化石資源生産は、2040年までの間に石油・ガスの資源と技術のプラスが小さいシナリオではほぼ横ばい、石油・ガスの資源と技術のプラスが大きいシナリオでは50%の増加と見ている。変化の幅が比較的小さいエネルギー消費と異なり、化石資源の生産は、前提条件により変化の幅が大きいという。

 エネルギー由来の温室効果ガス排出量はほぼすべてのシナリオで減少するが、クリーンパワー計画なしのシナリオで最も高くなると見通している。AEO2017では、クリーンパワー計画なしのシナリオ以外の全シナリオで同計画の導入を前提としている。

 米国では、1月20日にトランプ政権が誕生した。新大統領はクリーンパワー計画の廃止や化石燃料採掘に関する規制の緩和などをかねてから政権公約に掲げていた。このため、温室効果ガスに関しては、AEO2017におけるクリーンパワー計画なしのシナリオが現実のものとなる可能性が高まっている(関連記事)。

 二次エネルギーである電力に関しても、需要の緩やかな伸びが影響を与える。AEO2017の参照ケースで新規の設備容量を決定する要因となるのは、老朽化し発電効率の低い火力発電所の廃止と直近では再生可能エネルギーの投資税額控除(ITC)である。廃止される老朽火力発電所の大半は、クリーンパワー計画が後押しするものという。

 もしクリーンパワー計画が施行されない場合でも、低価格の天然ガスとITCによって天然ガス火力と再エネ電源が新規の設備容量をけん引すると見ている。参照ケースでは、2030年以降、新設容量の大半が太陽光と天然ガス火力になるとし、特に2030~40年の期間では50%以上を太陽光が占めると見ている(図2)。