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図 国土交通省自動車局国際業務室室長の久保田秀暢氏
図 国土交通省自動車局国際業務室室長の久保田秀暢氏
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 人工知能(AI)による自動運転用ソフトウエアを運転者とみなせる可能性がある――。米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が2016年2月4日に上記の内容を発表したことが大きな話題になった(関連記事)。世界で自動運転技術の開発が加速する中、NHTSAの見解は米国における自動運転の実用化を当局が後押しするものと受け取れるからだ。

 しかし、この話題に関して「一部、誤解がある」と語るのは国土交通省自動車局国際業務室室長の久保田秀暢氏である(図)。同氏は2016年2月18日に開催された「第10回 日本ITS推進フォーラム」の講演で、NHTSA担当者に確認をとった際に得られた見解を紹介した。それによると、NHTSAの発表は「無人運転車に関するFMVSS(米国連邦自動車安全規則)の解釈を示しただけで、現段階で運手者がいない無人運転を容認したのではない」という。

 参考になるのが、NHTSAが発表と同時に挙げた二つの“条件”だ。その条件とは「(ソフトウエアがクルマを運転できる場合でも)自動車の安全基準を全て満たす必要がある」ことと、「今後必要に応じ、運転者=AIとの解釈を前提に安全基準作成のための課題を検討する」ことだ。特に後者について、米国では基準作りの課題を検討する具体的な計画は今のところない。そのため、無人運転の容認にはまだ時間を要するという。

 今回のNHTSAの発表は、米Google社が同局に対して提出した2015年11月12日付の質問に対する回答である。質問の中でGoogle社は「FMVSSにおいて、無人運転車の運転者とは何を指すのか」と質問し、それに対してNHTSAは「(Google社の無人運転車に限ったものであり、状況に応じて解釈は異なるとした上で)人でないものがクルマを運転しうるのであれば、それが何であれ『運転者』とみなすのが妥当」と回答した。