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 「ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)」と呼ぶ、核分裂を利用したがん治療法の有効性を検証する臨床試験(治験)が、脳神経疾患研究所 附属 南東北BNCT研究センター(福島県郡山市)で始まった。民間医療機関でBNCTの治験を実施するのは、世界初。治療に使う薬剤と治療システムの薬事承認を、2018年度に申請することを目指す。2016年2月25日、報道機関向けの発表会を同センターで開催した。

向かって右から順に、脳神経疾患研究所 附属 南東北BNCT研究センター センター長の高井良尋氏、脳神経疾患研究所 理事長の渡邉一夫氏、脳神経疾患研究所 最高顧問の吉本高志氏、ステラファーマ 代表取締役社長の浅野智之氏
向かって右から順に、脳神経疾患研究所 附属 南東北BNCT研究センター センター長の高井良尋氏、脳神経疾患研究所 理事長の渡邉一夫氏、脳神経疾患研究所 最高顧問の吉本高志氏、ステラファーマ 代表取締役社長の浅野智之氏
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 BNCTは、現在臨床に使われているX線治療や粒子線治療とは異なるタイプの放射線治療だ。ホウ素を含んだ専用薬剤(BNCT用ホウ素薬剤)をがん患者に投与し、がん細胞にホウ素原子を選択的に取り込ませる。そのうえで、低エネルギーの中性子を患部に照射すると、ホウ素原子が中性子を捕捉し、α粒子(ヘリウム原子核)とリチウム原子核に分裂する。これらの粒子はがん細胞1個分に当たる数μmしか移動しないため、周辺の正常細胞にはほぼダメージを与えることなく、がん細胞だけを選択的に破壊するというメカニズムだ。治療(照射)回数は基本的に1回で、患者は治療台の上に寝た姿勢で30分~1時間で治療が終わる。

 BNCTは、従来の手法では治療が困難な「再発がんや浸潤がんに効果を発揮する。病院に併設したシステムでこの治療法を実用化できれば、全世界のがん患者にとって朗報だ」(脳神経疾患研究所 理事長の渡邉一夫氏)。例えば「がんの中でも最も治療が難しいものの一つ」(国立がん研究センター 中央病院 脳脊髄腫瘍科 科長の成田善孝氏)とされる、膠芽腫と呼ばれる高悪性度の脳腫瘍の再発例などに対する、有効な治療法となる可能性がある。