IEAやIRENAとも共同声明を発表
IEAの市場見通しでは、加盟資格のある国がすべてISAに参加した場合、ISA加盟国における太陽光の累積設備容量は2022年までに700GWを超える可能性があるとしている。
この量は、2022年まで の太陽光のグローバル設備容量の80%以上、現在の容量の2倍近くとなり、IEAが「世界エネルギー見通し(WEO)2017」で「持続可能な開発シナリオ(SDS)」で示した目標を達成するうえで重要な節目になるだろうとIEAは指摘する(関連記事2)。
IEAとしては、太陽光の導入をさらに加速させたり新興国における太陽光のコストをより低減したりするうえで、ISAは特に重要な役割を果たすと期待している。
IEAは2017年4月以降ISAのオブザーバーを務めており、政策面での課題の明確化、共通の標準規格の推進、投資の呼び込み、革新的な資金調達モデルの開発などに関して、いかなる計画でも強力に支援するとしている。
このため今回の会議で、IEAとISAは太陽光エネルギーの普及推進に関してグローバルに協力するとの共同声明に署名した(図1)。
ISAは翌11日、IRENAとも同様の共同声明に合意した(図2)。
IRENAのアミン事務局長は、「IRENAの試算では、パリ合意の目標を達成するためには、2050年までにグローバルの電源構成で全設備容量の少なくとも35%を太陽光で賄う必要がある。このため、IRENAはISAやその加盟国と協力し、低コストで信頼できる持続可能なエネルギーとして太陽光の導入加速に取り組んでいきたい」と述べている。
急速な技術の進歩や規模の経済が後押しする形で、太陽光発電のコストは2010~2016年の間に約70%下落した。IRENAは、今後10年間で太陽光による電力の平均コストがさらに60%下落する可能性があると試算している。また、太陽光発電産業は2016年に世界中で310万人を雇用しているとする。
今回の共同声明の下、IRENAとISAは太陽光の普及推進に向けて互いに協力していく。具体的には、太陽光発電に関連するエネルギー政策や規制に関して各国を支援すること、「クリーンエネルギー・コリドー」や「SIDSライトハウス」といったプロジェクトを通じた取り組みなどをIRENAは挙げている。
また、各国での太陽光発電プロジェクトに焦点を当てた取り組みを支援するため、IRENAは「グローバル・ソーラー・アトラス」や「プロジェクト・ナビゲーター」、「持続可能エネルギー市場」といった各種のプロジェクト支援ツールやプラットフォームをISAに提供していくという(関連記事3)。