政府は、洋上風力発電を想定した一般海域の利用ルールを定めた法律を整備する。3月9日、内閣府と経済産業省、国土交通省は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案」が閣議決定されたと発表した。
洋上風力発電など海洋での再生可能エネルギー設備が、海域を長期間占有するために必要な手続きなどを定めた。
同法律案のスキームでは、経済産業大臣および国土交通大臣が、農林水産大臣や環境大臣などとの協議や協議会などの意見を聴取した上で「促進区域」を指定し、公募占有指針を策定する。また、事業者が策定した公募占用計画の選定および認定、公募占用計画に基づく固定価格買取制度(FIT)の認定を経て、最大30年間の占用を許可する。
洋上風力発電の推進は、海洋政策上の重要課題として海洋基本計画に位置付けられている。風況は一般的に陸上より良く、設備規模も最大高約150mの5MW級風車を導入できる(陸上は最大高120mの2MW級)。
加えて、発電設備の部品点数が多く関連産業への波及効果や、設置・維持管理で地元への好影響が期待される。大規模に開発できれば発電コストも火力並みになるため、経済性も確保できる可能性がある。しかし、既設の洋上風力発電は、欧州が3589基なのに対し、日本はわずか6基で、依然高コストが課題だった。
また、海域の大半を占める一般海域では長期占用するための統一的ルールが存在せず、都道府県条例による占用許可は通常3~5年と短期のため中長期的な事業の予見可能性が低く資金調達が困難だった。さらに、海運や漁業などで海域を利用する先行利用者との調整に関する枠組みが存在しなかった。
経産省・資源エネルギー庁は、今回、閣議決定した一般海域の利用ルール策定と並行し、FIT算定委員会の場で、洋上風力の売電単価について検討している。それによると、着床式の洋上風力は、2017~19年度まで36円/kWhと決まっているが、一般海域利用ルールを適用される案件については、入札制に移行する方向性を示している。