PR

 牧野フライス製作所は、金型の微細・精密加工に向く立形マシニングセンター(MC)「iQ500」を発売する(図1)。主軸に転がり軸受けを採用して剛性を向上させながら、熱変位を抑えると同時に回転振れ精度を高めた。大型化が進む自動車用光学部品の金型などを精密に加工できる。

図1:牧野フライス製作所の微細・精密加工用マシニングセンター「iQ500」
図1:牧野フライス製作所の微細・精密加工用マシニングセンター「iQ500」
[画像のクリックで拡大表示]

静圧軸受け並みの面粗さを転がり軸受けで実現

 転がり軸受けは転動体が接触する構造のため、切削に必要な剛性を確保しやすい。その一方で、主軸の回転によって軸受けから摩擦熱が発生し、主軸が熱膨張する恐れがある。加えて軸受けで振動も生じるため、高い面粗さが求められる加工には不向きとされ、代わりに静圧軸受けを使うのが一般的だ。

 そこで同社は、主軸の内部から冷却油を送り込む「軸芯冷却」に使う冷却油の温度制御を、従来の±0.5℃から±0.1℃にできる冷却システムを開発。同システムの搭載により、新機種では熱変位によるリップル量を±0.1μmに抑えた。併せて、部品の寸法公差を厳しく設定し、組立工程において回転部品1つひとつのアンバランスを減らすことで、なめらかな回転を可能にした。これによって回転振れ精度を従来の1/2に低減し、静圧軸受け並みとしている。