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ビームスプリッターの配置図およびHOM干渉での入出力光子数分布。経路1と経路2に1光子ずつ同時に入力すると、経路3または経路4に2光子ずつ出力される
ビームスプリッターの配置図およびHOM干渉での入出力光子数分布。経路1と経路2に1光子ずつ同時に入力すると、経路3または経路4に2光子ずつ出力される
(図:NICTのプレスリリースより)
周波数のスプリッターの動作。同じ経路を通るが周波数の異なる2光子を入力1、2に入力すると、経路3または経路4から同じ周波数の2光子が出力される
周波数のスプリッターの動作。同じ経路を通るが周波数の異なる2光子を入力1、2に入力すると、経路3または経路4から同じ周波数の2光子が出力される
(図:NICTのプレスリリースより)
周波数のスプリッターとして利用したPPLN導波路
周波数のスプリッターとして利用したPPLN導波路
(写真1:NICTのプレスリリースより)
超伝導光子検出器
超伝導光子検出器
(写真2:NICTのプレスリリースより)
周波数のスプリッターの概念図。入力を多重化することで多重周波数スプリッターとして動作する
周波数のスプリッターの概念図。入力を多重化することで多重周波数スプリッターとして動作する
(図2:NICTのプレスリリースより)

 大阪大学と東京大学、情報通信研究機構(NICT)は2016年4月19日、異なる光周波数(異波長)の二光子におけるHong-Ou-Mandel(HOM)干渉の観測に成功したと発表した(ニュースリリース)。量子コンピューターにおける光周波数多重化量子演算を可能にし、計算量や通信容量などの情報処理能力の飛躍的拡大が期待される。

 HOM干渉は、1987年にHong、Ou、Mandelの3氏に提案され、観測された干渉効果。2つの入力に対して2つの出力を持つビームスプリッターと呼ばれるデバイスを使い、2つの入力に同一周波数の光子を同時入力すると、2つの出力に1ずつ出力されずどちらか一方に揃って出力される。HOM干渉は、光量子コンピューターの基本要素として、ベル測定や量子テレポーテーションなどに幅広く利用されている。

 今回、光子の周波数の違いを使ったスプリッター「周波数領域でのHOM干渉計」を開発。その効果を観測できた。このスプリッターを使うと経路は同一だが周波数が異なる光子を1つずつ同時に入射したとき出力がどちらかの周波数に同一化された2つの光子となる。実験では、PPLN導波路による和・差周波発生と、高性能な超伝導光子検出器(SSPD)を用いて、明確に量子力学的な領域の干渉性を示した。

†PPLN導波路=非線形光学結晶の一つで、周期的に分極反転したLiNbO3結晶を加工し、光ファイバーに代表される導波路形状にしたもの。導波路中に光が閉じ込められて進行するため、光周波数変換が高効率に起こる。この研究では、変換効率が40%程度で利用し、周波数のスプリッターとして用いた。

 現在までに考えられている光量子演算は、空間光回路を利用するものだった。今回の研究により、空間を周波数に置き換えた新しい光周波数多重化量子演算への道が拓けるという。研究成果は、Nature Publishing Groupが発行する学術誌「Nature Photonics」に4月19日付(日本時間)で掲載された。