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図1:上海中心大厦の外観
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図2:新技術で採用した機能
図2:新技術で採用した機能
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 三菱電機は、1230m/minと「世界最高速」(同社)のエレベーター技術を開発した(ニュースリリース)。同社はこの技術を、地上632mの高層ビル「上海中心大厦」(中国・上海市)で稼働中のエレベーターに適用する(図1)。

 新技術では、まず駆動・制御性を高めるために、巻き上げ機と制御盤を開発した(図2)。巻き上げ機には、省エネルギー性能に優れる永久磁石モーターと安全性の高いブレーキシステムを搭載する。併せて、2台の制御盤による並列駆動システムを採用。回生電力を有効に活用するため、消費エネルギーの削減も図れるという。

 巻き上げロープとしては、従来のケーブルに比べて質量比強度の高いワイヤーロープを使い、超高揚程に対応した。さらに安全性を高めるために、多段緩衝器や非常止め、調速機に超高速・高揚程対応の安全装置を装備する。

 その他、乗り心地を向上させる工夫として、レール曲がりや風圧による横揺れを抑える専用のアクティブローラーガイドを搭載。かご室には、かご周辺で発生する風を低減させる効果のある流線形の整風力カバーを取り付ける。かご室内の気圧を調整する装置も備え、耳の痛みなど乗客の不快感を緩和できるという。

 同社は、上海中心大厦の展望階行きエレベーター3台のうち昇降路の高さを確保できる1台に新技術を適用する。同エレベーターは利用状況に応じて1080m/minまたは1230m/minで運転し、地下2階から地上119階の展望階までの到達時間は、最速で約53秒とする。製造は三菱電機の稲沢製作所(愛知県稲沢市)が製造し、中国で昇降機事業を展開する上海三菱電梯公司が据え付ける。