100万フレーム/秒相当。ダイナミックレンジは180dB相当。消費電力は1/1000以下。まったく新しい原理の撮像技術によるイメージセンサーを実用化し、自動運転車への搭載を狙う企業がある。フランスchronocam社だ。ドイツRobert Bosch社のベンチャー投資会社が投資している。既に欧米の大手自動車メーカーがまずはADAS(先進運転支援システム)向けに採用を決め、2019年に市場に登場する見込みだ。同社は、2016年5月30~6月1日に開催のカンファレンス「赤外線イメージングソリューション/車載イメージングソリューション」で、日産自動車、ドイツContinental社、ソニー、スタンレー電気などとともに講演、詳細を明らかにする予定である。
同社の技術では、各画素のフォトダイオードに入射した光の蓄積量の変化が規定値を超えた時に、その座標と時刻を情報として送出する(『日経エレクトロニクス』2016年5月号「王者ソニーを脅かす、CMOSセンサー新技術」を参照)。この情報から画像を合成する。画像圧縮によらず、データ量を大幅に減らせる。既存のCMOSイメージセンサーでは、動画撮影時に1/30秒ごとなど決まった時間間隔で全画素のデータを読み出す。画素数を増やしたり、読み出しを高速化するために時間間隔を短くしたりすると情報量が増える。画像処理やデータ転送処理のための消費電力も大きくなる。
座標とともに送る時刻情報は、現在の開発品では1μsの分解能があるため、100万フレーム/秒単位で画像を読み込めることになる。データ量や消費電力は、撮像の対象や条件によって異なるものの既存のCMOSイメージセンサーに対して1/1000ほどになる場合があるという。
試作品はすべて白黒画像品だが、センサー前面にカラーフィルターを形成すればカラー化も可能である。製造には汎用のCMOSプロセスが使える。同社はファウンドリーで試作品などを製造している。