5月1~2日に北九州市で先進主要7か国(G7)エネルギー大臣会合が開催された。これは5月26~27日に開かれるG7伊勢志摩サミットに先立ち、閣僚間でエネルギー問題を議論したもので、2日に共同声明が出された。
声明では、「世界経済の成長を支えるには、エネルギーの安全保障が重要」との前提に立ちつつ、「二酸化炭素(CO2)排出と経済成長を切り離すために、再生可能エネルギーや省エネなど、エネルギー分野への継続的な投資が不可欠」などと宣言した。
こうした宣言内容の背景には、ここ数年の原油価格の低下とCOP21(第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で合意した「パリ協定」の存在がある。原油価格の水準が低いなかで、省エネや低炭素エネルギーへの投資が鈍る可能性がある一方、パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命前から2度未満に抑える目標を掲げ、1.5度未満を目指すことの重要性も明記するなど、温室効果ガス排出を実質ゼロにする方向性が打ち出された。
同会合には、7カ国(日・米・加・独・仏・英・伊)のほか、EU、国際エネルギー機関(IEA)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)から閣僚などが出席し、林幹雄経済産業大臣が議長を務めた。発足から歴史の浅いIRENAの幹部が出席したのも、再生可能エネルギーへの投資を強化したいとの狙いがある。
共同宣言では、再エネ設備への継続的な投資に加え、太陽光や風力など変動性のエネルギーを大量に導入する場合の技術的、制度的な方向性についても盛り込んだ。IEAとIRENAが共同して作成した再エネ電源の電力系統への統合に関する報告書に言及するとともに、適切な電力市場や規制の枠組みの必要性を強調した。
また、大臣会合の直前に開催地の九州で「熊本地震」が発生したことも踏まえ、自然災害に対し、エネルギーシステムを強靭化することや、素早い復旧の重要性も、エネルギー安全保障の強化の1つとして盛り込んだ。