電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)は4月28日、九州電力による再生可能エネルギー発電設備の出力抑制(出力制御)に関する検証結果と、実際の需給実績を公表した。検証対象となったのは、今年3月に実施した5回分(12日、20日、21日、22日、28日)。
広域機関は、出力抑制の指示について、5回とも「適切である」と判断した。また、公表された出力抑制当日の実際の需給状況を見ると、5回のうち4回については概ね予測通りだったものの、1回は需要と供給の予想がそれぞれ約6%外れたため、火力発電(内燃力機)が43.1%の部分負荷運転となり、安定的な運転の目安とされる最低負荷率50%を大きく割り込んだ。
種子島には、太陽光発電が約11MW、風力は660kWが系統連系しており、そのうち出力500kW以上の複数の再エネ発電事業者が、出力制御の対象となる。同島の昼間最小需要は15~16MWで、再エネの接続可能量は9MWと算定されており、すでに再エネの稼働設備容量はそれを超えている。
九電は最初の出力抑制を昨年5月5日に実施し、その後今年2月21日に2回目を実施していた。3月には5回、4月には4回の出力抑制を指示している。今回、広域機関が検証結果を公表したのは3月に実施した5回分についてとなる。
いずれも制御する日の1日前に発電事業者に指示を出し、翌日の9~16時に出力を抑制して、営業運転を中断した。出力抑制の対象となった設備の容量は、12日900kW、20日2.5MW、21日1.7MW、22日1MW、28日1.7MWだった。過去2回の出力抑制では1MWだったこことから、3月20日の出力抑制量がこれまでで最大となった。
広域機関が検証した項目は、(1)抑制を指示した時点で予測した離島の需給状況、(2)下げ代確保の具体的な内容、(3)再エネの出力を抑制する必要性――の3点。
需要想定に関して、九電は至近の実績を基に曜日などを考慮し、過去の気温と需要実績によって補正するなどして算出した。太陽光の最大出力の想定に関しては、種子島の最新の日射量予測値に、九州本土の出力換算係数を乗じて算出した。そのうえで、火力の内燃力機を最低負荷率50%まで出力抑制しても、下げ代不足となる分を再エネの出力抑制によって需給バランスを維持するという対応手順とした。