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 未来のエンジニアをいかに育成するか。理系離れ、エンジニア離れが“技術立国日本”の社会的課題として語られるようになって久しいが、抜本的な解決策はなかなか見えてこないままだ。

 ここにきて注目を集めているのは、「STEM教育」と呼ばれる理工系人材の育成を目指す取り組みだ。STEMは、「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Mathematics(数学)」の頭文字をとったもの。米国のオバマ政権では、これらの分野の人材育成を国家の優先課題として推進中だ。子供のころから理工系の考え方に親しむ環境を整え、将来イノベーションを創出する人材を育成することを目指している。

 このSTEM教育を実現するツールとして、ICT(情報通信技術)やロボットなどを用いて、生徒自身が手を動かすものづくり体験を支援する教材が登場している。その一端が、デジタル教材や教育用ICT機器など、学校教育関係者向けのIT(情報技術)ソリューションが集う展示会「第7回 教育ITソリューションEXPO」(EDIX)に集まった。2016年5月18日に開幕したこの展示会では、今回から新設した「学びNEXT」と呼ぶコーナーに未来型の教育に向けた最新技術・サービスが一堂に会した。展示会の会期は同20日まで。

アイデアを形にするものづくり教材で、製品開発を体験

 英Dyson社の創業者、James Dyson氏が設立したジェームズ ダイソン財団(JDF、James Dyson Foundation)は、Dyson社の象徴的な存在であるサイクロン掃除機を教材に用いるものづくりワークショップ「ダイソン問題解決ワークショップ」を中学や高校に提供している。学びNEXTでは、同財団はワークショップで用いる教材の「ダイソン エンジニアリング ボックス」を出展した。

ジェームズ ダイソン財団の教材「ダイソン エンジニアリング ボックス」。実際の掃除機の分解・組み立てを行うことで、製品の仕組みの理解に役立てられる。
ジェームズ ダイソン財団の教材「ダイソン エンジニアリング ボックス」。実際の掃除機の分解・組み立てを行うことで、製品の仕組みの理解に役立てられる。
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 このワークショップの目的は、未来のエンジニアを育てることだ。具体的には、生徒が自ら掃除機を分解したり、組み立てたりすることで、身近な工業製品の仕組みやエンジニアの意図の理解を深める。プログラムの一環として、学校の中で起きる日常的な問題を見つけ、その問題について話し合うグループワークも実施する。

 その中で得られた解決策を基に試作品を作るところまで生徒に体験させるという。この一連の取り組みによって、生徒は課題解決というエンジニアの役割を理解でき、キャリア教育にも役立てられる。

 学びNEXTでは、電気回路やプログラミングの学習に役立つ教材も目立った。

REVSONICが展示した「ARM University Program」の教材。右はLEDを点灯させる回路を組んだときのデモ。
REVSONICが展示した「ARM University Program」の教材。右はLEDを点灯させる回路を組んだときのデモ。
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 例えば、英ARM社が提供する教育機関向けプログラム「ARM University Program」では、同社が無償でマイコンやブレッドボードなどの基本教材を大学や高等専門学校に提供している。このプログラムで国内のトレーニングパートナーを務めるREVSONIC(レブソニック)は、今回の展示会でARM社の基本教材に追加して導入できる発展教材を出展した。

 同社は、MEMSセンサーやNFCタグで明るさや温湿度を測定するモデルを設計する教材など、より発展的な学習プログラムを教育現場に提供する。ソフトウエア設計から電子工作までの一連の演習をプログラムに組み込むことで、就職前の学生にチームによる製品開発の体験型学習を提供できるという。