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 富士通は2017年6月1日から、3D設計データを基にバーチャルで生産工程を検討できる生産準備ツール「VPS」の新版を発売する(ニュースリリース)。VPSが持つ3Dベースの工程情報(BOP、Bill of Process)と、現場の情報を一体化して、いわゆる「デジタルツイン」をより確実に実現できるようにするのが機能強化の主眼。具体的には、設計部門からの変更情報を素早くBOPに反映することと、生産技術部門が持つ既存品目のBOPを新生産品目に適用することなどについて強化を図った。

 設計変更があったときに、設計データ(3D-CADのモデル)を基に工程を検討してBOPを作り込み、工程指示用のアニメーションを作成して配布するまでの作業が大変だと、設計情報と生産指示情報がかい離する原因になる。これを避けるため、これまで富士通は3D-CADのモデルに変更があったとき、その変更がMBOM(製造BOM、BOMはBill of Materials)やBOPのどこに影響するかを自動で洗い出す機能を強化してきた。しかしこの機能は「しらみつぶしの処理」(富士通)を伴う複雑なもので、時間がかかる。そこで新版では、3D-CADモデルを受け取った生産技術部門の担当者が目で見て、明らかに変更がなかったり、軽微な変更だったりして実質的にBOPには変更が生じないところなどを指定し、自動洗い出し処理から除外できるようにした。これにより、生産技術部門は工程情報やアニメーションの修正にすぐ取り掛かれる。

 工程指示用のアニメーションの表現力も強化(図1)。細かい部品を組み付けるときには自動で拡大表示したり、部品と組み付け位置を結ぶ組み付け線の表示を分かりやすくしたり、アニメーションの視点移動を自然な感じにするなど、自動処理でほぼアニメーションを仕上げられるようにした。従来は手作業での仕上げに時間がかかっていたが、この作業時間を1/5に短縮できるという。紙に印刷するために、アニメーションのスナップショットを作成して工程情報を記入する作業を一括で実行できるようにした。

図1 アニメーションの自動拡大機能と「組み付け線」の表現
図1 アニメーションの自動拡大機能と「組み付け線」の表現
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 BOPを作り込む作業は、もともとVPSでは3D-CADの構成情報(EBOM、設計BOM相当)を利用し、これを生産作業に向くように組み替えて(MBOM相当)、中間品なども入れた上で工程に関する情報を追加していく、というものだった。しかし同じユニットをさまざまな製品に適用する企業などでは、既存のMBOMやBOPを再利用する方が効率的。そのため、新版ではMBOMの構成情報を基に、3D-CADの形状情報を割り当てる形で、新しい品目のBOPを作り込めるようにした(図2)。

図2 MBOMの構成情報に3D形状を割り当てるBOP作り込み機能
図2 MBOMの構成情報に3D形状を割り当てるBOP作り込み機能
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