東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は6月6日、米コロラド州北部に建設するメガソーラー(大規模太陽光発電所)向けに、直流1500V仕様で定格出力2.7MWのパワーコンディショナー(PCS)を受注したと発表した。米国ではメガソーラーの直流回路の仕様が1000Vから1500Vに移行しつつある。日本勢による1500V系PCSの受注は初めて。
TMEICが1500V系PCSを受注したのは、再生可能エネルギーの開発・建設で世界トップクラスの実績を持つドイツ・juwi (ユーイ)社の米国法人からで、出力30MWのメガソーラーに「SOLAR WARE 2700」を2016年6月末に12台納入する。
同モデルの定格出力は2.7MWで、直流1500V系PCSとしては世界最大クラスの単機容量になるという。大容量化によってPCSの設置台数を削減できるとともに、直流回路の高電圧化によって、昇圧用変圧器やスイッチギヤ、ケーブルなど周辺機器の数量、据付配線の工数を削減でき、太陽光発電所の建設コストを下げられるという。
「SOLAR WARE 2700」は、周囲温度-20℃から50℃までの運用を想定しており、砂漠などの過酷な環境にも対応できるという。また、定格出力の50%までは自然冷却で稼働する「ファンレス技術」を採用している。変換効率は98.8%と世界トップ水準という。
現在、国内外のメガソーラーの直流回路側の電圧は1000Vが主流となっているが、高効率化・建設コスト低減を目指した次世代システムとして、直流1500Vでのシステム構築が世界的に注目されている。1000Vに比べ1500V系システムでは、設備全体での高効率化に加え、機器類の集約化や工事工数の削減により建設コストを低減できる。
米国では1500V系システムの導入検討が最も進んでいる。TMEICは、「米国では2016年から1500V系の導入が加速し、2017年後半には新規のメガソーラーの過半数に達する」と予想している。また、「日本やインド、中国でも1500V系システムの導入が検討されており、数年以内に世界のメガソーラーシステムの主流になる」とみている。