PR

 トヨタ自動車が水素エネルギーを有望視するのはなぜなのか。

 まず水素は使用過程で二酸化炭素を一切発生しない。しかも多様な製造方法があり、石油など化石燃料のように枯渇の心配がない。風力や太陽光で発電して水素を製造すれば、製造過程でも二酸化炭素が生じない。さらにエネルギーを長期間貯めておくことも可能だ。

 FCVは、充電に時間がかかるEVと違い、約3分間という短時間で高圧タンクに水素を充填できる。さらにトヨタ自動車のFCV「MIRAI」の航続距離は約650kmに達する。非常時などの電源としても利用でき、一般的な家庭では5日分に当たる電力を供給することが可能だ。

 トヨタ自動車は、FCVを開発する際に、安全性を非常に重視したという。水素は危険ではないかと不安視する声が目立つからだ。高圧水素タンクは水素を漏らさない強度や耐久性に優れた設計になっており、万一の水素漏れを検知するセンサーも搭載する。

 実は水素タンクでは銃弾でタンクに穴をあけて破裂しないかを確認する「ガンファイア試験」も実施していることを明らかにした。700気圧の水素タンクは「弾丸がタンクを貫通して穴が空いても破裂しない」設計になっているという。

 FCVの量産に当たってはコスト削減も進めた。2008年から2014年にかけてFCシステムコストを1/20に下げた。今後はさらなるコスト低減も進める方針だ。