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星 博彦氏
星 博彦氏
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 2050年のクルマは、現在と全く異なる形になる可能性が大きい。事業構造も大きく変わりそうだ。日経Automotiveは2016年7月6日、セミナー「クルマの2050年を徹底予測<第2弾>」を都内で開催する。トヨタ自動車で長年エネルギー動向を調査していた星博彦氏(コーディアアナリスト)が、「2050年の自動車燃料」の見通しを語る。

 星氏は、「2050年までに石油が枯渇する懸念によって自動車開発が制約されることはほとんどない」と考えている。1990年代、自動車メーカーの中では「ピークオイル論」への懸念が強かった。2030年ごろに石油が枯渇し始め、既存の内燃機関車は売れなくなると見る向きが多かった。しかし、現在予測されている石油の埋蔵量は膨大だ。1990年代は2兆バレル程度とみられていたが、現在は約8兆バレルを採掘できる見通し。「石油は使い切れないほどある」(星氏)という。

 一方、2050年までの燃料の見通しを左右すると考えるのが、CO 2排出量である。2015年12月に開催した「第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」では、21世紀末までの気温上昇を、工業化前に比べて1.5度以下に抑える努力目標を掲げた。ほとんど実現しない水準だが、各国の政策が影響を受ける可能性は大きい。石油は使い切れないほどあるが、CO 2排出量の制約で自動車開発が影響を受ける可能性は大きくなる。

 もう一つ、今後の自動車燃料に大きな影響を与えるのが石油会社の動向である。原油安の影響や国営石油会社の台頭で、米Exxon Mobil社などの“石油メジャー”の力が弱っている。精製事業を含めた小売り分野から撤退し始めた。

 石油メジャーの精製能力は高い。これまで世界で安定した品質のガソリンを供給してきた。そんなメジャーが精製事業から手を引くと、ガソリンの品質にばらつきが生じる可能性が大きくなる。星氏は今後、品質のばらつきが大きな燃料に対応する内燃機関技術が必要になると予想する。