PR
4/1朝まで
どなたでも有料記事が読み放題「無料開放デー」開催中!
セシウム原子のラビ振動を利用した電磁波計測システム(写真:産総研のプレスリリースより)
セシウム原子のラビ振動を利用した電磁波計測システム(写真:産総研のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]
電磁波強度測定の原理(図:産総研のプレスリリースより)
電磁波強度測定の原理(図:産総研のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]
電磁波の強度分布の測定の様子(左)と測定結果(右)(図:産総研のプレスリリースより)
電磁波の強度分布の測定の様子(左)と測定結果(右)(図:産総研のプレスリリースより)
[画像のクリックで拡大表示]

 産業技術総合研究所(産総研)は2016年7月11日、セシウム原子の共鳴現象を利用して電磁波の強度を測定する技術を開発したと発表した(ニュースリリース)。通常のアンテナによる計測では不可能な、測定する電磁波の波長以下の局所的な測定が可能で、高い空間分解能で電磁波強度を計測できる。

 原子は特定の周波数の電磁波を受けると、電磁波に共鳴する2つのエネルギー状態の間で遷移を繰り返す。この現象は「ラビ振動」と呼ばれ、その周波数(ラビ周波数)は受けた電磁波の強度と比例する。この性質を利用して、アンテナを用いずに電磁波の強度をラビ周波数の測定から求めた。

 ガラスセル内にセシウムガスを封入し、セシウム原子のラビ振動を検出することで電磁波のセンサーとした。ラビ周波数の測定にはレーザーを用いるため、金属ケーブルや光ファイバーなどが不要で、離れた場所からワイヤレス測定が可能。小型のガラスセルを用いることで、局所的な測定を可能にした。実験では、9.2GHzの周波数の電磁波について、1cmの空間分解能で測定できることを実証した。

 今後はセシウム原子の中に多数存在するエネルギー状態から、電磁波に共鳴する2つのエネルギー状態を適切に選ぶことで、測定できる電磁波の周波数の範囲を大幅に増やし、測定精度や空間分解能のさらなる向上を目指す。

 今回の研究は、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業「量子力学に基づいた高周波磁界測定」(2014~2015年度)、「Cs原子を用いたMHz帯量子磁界センサの研究開発」(2016~2018年度)の支援を受けた。技術の詳細は、カナダで開催中の「Conference on Precision Electromagnetic Measurements 2016(CPEM2016)」で2016年7月13日に発表する。