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試作したメモリーチップ。右下の目盛は10nm
試作したメモリーチップ。右下の目盛は10nm
TU Delft/Ottelab
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上の写真の一部の拡大画像。Feynman氏の講義内容を、その名前と共に記録したという。
上の写真の一部の拡大画像。Feynman氏の講義内容を、その名前と共に記録したという。
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 オランダの大学Delft Unviersity of Technologyは、原子1個に1ビットを割り当てる“メモリーチップを開発したと発表した。

 試作したメモリーは寸法が96nm×126nm。記録容量は1kバイト(8000ビット)と小さいが、記録密度は500Tビット/インチ2で、販売されている既存のHDDの約500倍であるという。

そろばんのように情報を記録

 このメモリーでは、銅(Cu)の基板上で塩素(Cl)原子の位置を制御することで情報を記録する。具体的には、Cu基板上のCl原子は、そろばんの玉のように空隙との位置関係で2つの位置を取り得る。今回は、この2つの各位置の一方に「1」、もう一方に「0」を割り当てたとする。Cl原子の位置の制御には、走査型トンネル顕微鏡(STM)を利用する。

 試作したメモリーチップでは、8バイトごとに区画を分けた。各区画にはCl原子と空隙で2次元バーコードのような濃淡のパターンが現れるという。このパターンによって、損傷やエラーの有無、そしてエラー訂正用の符号化も可能になるとする。

 この試作チップには、1959年に原子メモリーの容量を世界で初めて計算した物理学者Richard Feynman氏の講義内容を記録したという。

実用化はまだメドたたず

 実用化への最大の課題は、室温かつ大気中ではデータを保存しておけない点だ。「現時点では、不純物のない真空中に設置した上で、液体窒素の温度である77Kで冷却する必要がある」(同大学)という。