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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2017年7月14日に「平成29年度NEDO『TSC Foresight』セミナー 第1回」を都内で開催し、その第一部で、IoT社会を支える「組込みソフトウェア」がものづくりシステムを変えるという近未来像を解説した。

 第一部の冒頭の講演「IoTソフトウェア IoT社会を支える組込みソフトウェアに求められるもの」では、NEDO技術戦略研究センター(TSC)の電子・情報・機械システムユニットの伊藤智ユニット長が登壇し、その全体像を展望した。

 第4次産業革命が加速する中では、経済産業省が「2017年度版ものづくり白書」で指摘した「Connected Industries」が実現し、「強靱なものづくり力を基盤とする顧客課題の解決力(サービス・ソリューション)向上による価値獲得を目指す社会を支えるためには、特定用途を対象とする『IoTソフトウェア』が重要になる」と解説した。「Connected Industries化が進んだ社会では『Product as a Service』が実現し、ものづくりを活用したIoTサービスが重要になるからだ」とする。

 「IoTソフトウェア」とは、「『組込みソフトウェア』の中で、スマートコネクティドとディペンダビリティを併せ持つものと、NEDOでは定義し、議論を深めている」という。「スマートコネクティド」とは「機器と機器、機器とクラウド間でのデータ連携を可能にし、産業領域を超えて製品とサービスの連携を実現する機能」と説明する。また「ディペンダビリティ」とは「アイテムが与えられた条件の下で、与えられた期間に要求アイテムを遂行できる能力だと、JIS Z 8115:2000で説明されている」と解説する。

 NEDO技術戦略研究センターは「組込みソフトウェア」関連製品の世界市場規模について、「車載分野では2014年の4613億円が2030年には8088億円に成長し、産業機械では同2666億円が同4673億円と成長すると予測している」という。その背景には「IoTソフトウェアが多くの産業分野で加速度的に増大する」ことがあるとする。例えば自動車分野では、現在のソフトウエアの行数は1億行を超えたレベルであるのに対して、自動運転技術の進化により2024年ごろには10億行を超えると予想されているという。

 製品などのシステムが複雑化することによって「IoTソフトウェアの規模が加速度的に増加し、従来の開発手法では対応が困難になりつつある」と分析し、「欧米ではIoTソフトウェアの大規模化に対応するために、官民共同で標準化や開発プラットフォームの整備を進めようとしている。この動きに対応し、日本でも同様の施策を始めつつある」という。

 ただし、「日本はセキュリティーの基盤となる暗号化技術では競争力を持つが、その社会実装では後れを取り始めており、このままでは競争力を失う可能性がある」と指摘する。このため、「IoTソフトウェアを含めたシフトウエアの設計エコシステムがどうあるべきかを考え抜き、適切な研究開発戦略の下で対応を始めることが重要」とした。