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パッド断面(左)とナノファイバー断面(右)の拡大写真
パッド断面(左)とナノファイバー断面(右)の拡大写真
パッド断面に見られる繊維状のものは、ナノファイバーから構成されている。表面積を大きくすることで、高効率な研磨を実現できるという。(図:JST)
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 科学技術振興機構(JST)は、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの難加工性基板の研磨性能を向上した研磨パッドの開発に成功したと発表した(ニュースリリース)。SiCやGaNなどのパワー半導体基板材料は、加工が難しく、加工プロセスの高速化、低コスト化が課題になっていたが、その解決策として期待される。

SiC(Si面)研磨評価
SiC(Si面)研磨評価
左のグラフは実機での評価、右のグラフはラボ機での評価。次世代樹脂(エポキシ樹脂)ではより速く滑らかな研磨が可能とする。(図:JST)
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 今回の研磨パッドは、2つの技術を組み合わせて、高い研磨効率と表面粗さ・平坦性を両立させた。1つは、繊維表面積が大きく、繊維間空隙数の多いナノファイバー繊維(繊維直径700nm)を用いて不織布を作成し、研磨剤(スラリー)の吸い込みと付着性を向上させた。ナノファイバーの繊維間で、砥粒をキャッチすることにより、作用砥粒数が増加して研磨効率が向上した。また、ナノファイバーは繊維表面積が大きいことから、大きなゼータ電位をもつ。そのため、スラリー中の砥粒の凝集を抑制する効果があり、表面粗さが向上した。つまり、ウエハーの表面をより滑らかにできる。

従来品と開発品でSiC基板を研磨したときの研磨前後の形状比較
従来品と開発品でSiC基板を研磨したときの研磨前後の形状比較
開発品の方がより滑らかになり、同時に平坦性が損なわれにくい。(図:JST)
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 もう1つは、高硬度樹脂を高密度に含浸する技術を確立した。含浸させる樹脂として、既存樹脂のウレタンを用いた研磨パッドのほか、エポキシ樹脂を用いた新たな研磨パッドも開発した。ウレタンの含浸パッドでも従来品より早く同等の滑らかさを実現したが、エポキシ樹脂の含浸パッドではさらに早く滑らかな研磨を実現できるという。

耐久摩耗性評価
耐久摩耗性評価
(図:JST)
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 今回の発表は、JSTが産学共同実用化開発事業(NexTEP)の開発課題「高生産性精密研磨パッドの開発」の結果を成功と認定したもの。立命館大学 教授の谷泰弘氏らの研究成果をもとに、2013年10月から2017年3月にかけて、帝人の高機能繊維・複合材料事業グループ(現在は帝人フロンティア)に委託し、同社が開発を進めていた。