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図3 高速撮像やグローカル制御なども
図3 高速撮像やグローカル制御なども
「ブレインモルフィックAI技術」以外の共同研究も検討中とした。
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 このほか、高速撮像技術を開発する東大 情報理工学系研究科の石川正俊教授(関連記事2)、流通や交通のグローカル制御技術を手掛ける同研究科の原辰次教授(同研究室のページ)、有機トランジスタを用いたセンシング技術で著名な工学系研究科の染谷隆夫教授(関連記事3)などとの共同研究も検討している(図3)。また、人文系の研究者との議論を通じた倫理・法制度の検討や、奨学金制度「NEC・東京大学 フューチャーAI スカラーシップ」による人材育成にも取り組む。後者は、1年に2名の博士課程の学生に対し、月20万円の奨学金を3年間給付する計画。

 なおNECは、今回の「ブレインモルフィックAI」以外にも、AI実行用のハードウエアの開発を進めている。自社内では、人間の五感に相当するような認識機能をFPGA上に実装しており(関連記事4)、大阪大学と共同で脳の特性に学んだコンピューティング技術を研究する「NECブレインインスパイヤードコンピューティング協働研究所」も設立済みである(関連記事5)。

 これらのAIチップの棲み分けについては、ディープラーニング(深層学習)などデジタル処理を前提にしたAIは自社でCPUやGPU、FPGAなどに実装するのに対し、それよりも消費電力当たりの処理性能を桁違いに高めることを、今回のブレインモルフィックAIに期待しているという。大阪大学との共同研究は、さらに先の実用化を狙ったものとする。脳の動作原理を解明して応用することで、ブレインモルフィックAIに対して、さらに1~2桁、電力効率を高める可能性がある主張している(関連記事6)。