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登壇した中島 雅美氏 右手に持っているのは、2.54cm×2.54cmというリファレンス設計。 日経エレクトロニクスが撮影。
登壇した中島 雅美氏 右手に持っているのは、2.54cm×2.54cmというリファレンス設計。 日経エレクトロニクスが撮影。
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図1●今回のマイコンの機能ブロック図 このマイコンに右側の9軸センサーとBluetooth Low Energy通信回路を付けたものがリファレンス設計である。待機時はフラッシュメモリーをオフにしてエネルギー消費を抑える。ルネサスのスライド。
図1●今回のマイコンの機能ブロック図 このマイコンに右側の9軸センサーとBluetooth Low Energy通信回路を付けたものがリファレンス設計である。待機時はフラッシュメモリーをオフにしてエネルギー消費を抑える。ルネサスのスライド。
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図2●今回のマイコンの主な仕様 ルネサスのスライド。
図2●今回のマイコンの主な仕様 ルネサスのスライド。
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図3●今回のマイコンの位置づけ 紫色の丸印が今回のマイコンである。ルネサスとSynopsysのスライド。
図3●今回のマイコンの位置づけ 紫色の丸印が今回のマイコンである。ルネサスとSynopsysのスライド。
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図4●リファレンス設計を比較 今回のリファレンス設計は中央の写真の左側である。ルネサスのスライド。
図4●リファレンス設計を比較 今回のリファレンス設計は中央の写真の左側である。ルネサスのスライド。
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 ルネサス エレクトロニクスは、センサー処理などIoTのエッジで使う機器に向けた低消費電力マイコンを開発し、テストマーケティング中である。製品化はまだ決まっていないという。このマイコンは米Synopsys社のCPUコア「ARC EM5D」をベースにしている(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。

 同マイコンに関して、ルネサス エレクトロニクスの中島 雅美氏(第一ソリューション事業本部 コア技術事業統括部 設計基盤推進部 課長)が、日本シノプシスのプライベートイベント「SNUG Japan 2016」(2016年9月9日に東京で開催)で講演した(写真)。ルネサスはIoT向けマイコンとして「Synergy」を展開中である。Synergyは、ハードウエアに明るくないユーザーでも短期間でマイコンシステムが開発できるようにすることを狙う(日経テクノロジーオンライン関連記事2)。SynergyのCPUコアはARM製である。

 一方、今回のマイコンは、待機時に低消費電力、動作時に高性能という、IoTエッジ機器で求められる仕様を追求する。ルネサスには独自開発した「RL78」や「RX」といったCPUコアを持っているが、「新たな試みとしてSynopsysのARCコアを使った」(中島氏)。ARCコアは、カスタマイズ可能で、さまざまな最適化が施せる点を評価した。また、サードパーティーのCPUコアのため、製造ライン(ファウンドリー)の選択肢の幅が広いとした。なおSynopsysによれば、ARCコアはARMコアよりも低消費電力だ(電力効率が高い)としている。

 今回、中島氏が講演で紹介したARCコアベースのマイコンは動作周波数は200MHz、ルネサス独自のSG-MONOS型フラッシュメモリーを2Mバイト搭載する(図1)。40nmプロセスで製造し、チップ面積は3.15mm×2.25mmである(図2)。センシング動作時の消費電流は4mA(電源電圧1V)である(図3)。エネルギー効率は20μA/MHzとする。待機時はほとんどの回路を止めるモードを備えている。

 同氏は、このマイコンを搭載したセンシング向けのリファレンス設計も公開した(図4)。2.54cm×2.54cmという小面積に、今回のマイコンと9軸センサー、Bluetooth Low Energy通信回路などを搭載している。同氏は、このレファレンス設計と他のリファレンス設計とを比較した結果を見せた。Raspberry Pi3に比べてはるかに小さく、米Texas Instruments社やロームのリファレンス設計よりも小型かつ高性能(動作周波数が高い)だとした。

 なお、このマイコンは2015年9月に米国で開かれた「ARC Processor Summit 2015」の中島氏の講演において初めて公表された。その後、同年11月に日本で開催の「ET 2015(Embedded Technology 2015)組込み総合技術展」の日本シノプシスのブースで展示されたり、2016年4月に日本で開催された「COOL Chips XIX」のルネサスの講演で紹介されたりしている。また、Synopsysが2016年2月に発表したIPサブシステム「DesignWare Smart Data Fusion IP Subsystem」の実装例としてニュースリリースに登場したり(日経テクノロジーオンライン関連記事3)、ルネサスとSynopsysが共同開発した評価ボードのビデオが公開されている(ビデオ公開ページ)。