これまでないタイプの被害も
一方、台風21号による被害では、23件のうち、強風(20件)と高潮(3件)によるものが多く、地域的には、大阪府(12件)が飛びぬけて多く、以下愛知県(4件)、兵庫県(2件)で、それ以外の県は1件だった。
大阪沿岸部では、猛烈な風の影響で、今までとは異なるパネル被害が発生したという。従来の強風被害は、パネルと架台を接合するネジやクリップが外れてパネルが吹き飛ぶことが多かったが、今回は、ネジが外れないままパネルが引きちぎれたケースや、架台に取り付けられたまま、強風でパネル表面のガラス面が外部応力で破損したケースがあったという。
また、北海道胆振東部地震では、地震による地面の隆起、地割れ、液状化などによって、架台、パネルが損傷したり、PCSの短絡・地絡により運転機能を喪失したりした。ただ、最大震度7という大地震としては、事故件数は3件に留まった。
台風24号についても、報告件数は3件に留まり、そのうち愛知県が3件。強風によるパネルの飛散・破損、PCSの焼損、支持物の変形・破損という内容だった。
全体としてみると、西日本豪雨と北海道胆振東部地震では、敷地被害による発電設備の被害が多く、さらに西日本豪雨では、浸水による発電設備の被害も多く発生した。台風21号と24号では、いずれも強風によるパネルの飛散、支持物の損壊が見られた。これに加えて、台風21号では、大阪沿岸部を中心に強風によるパネル自体の破損という、これまで見られなかったタイプの損傷が起きたことが特徴的としている。
これらのうち、「パネルの飛散、支持物の損壊」に関しては、すでに今年10月1日付電技解釈の変更で対応済みとし、今回の飛散・損壊は電技解釈を満たしていないと判断できるとする。
そのほかの被害については新たな対応が必要とし、以下の方向性を示した。設備の浸水に関しては、「浸水した発電設備に接近することの危険性について国民に注意喚起を継続」「浸水可能性のある地域への発電設備の設置に対し、一定の対策(PCSの高所への配置など)を求めることを検討」。パネル自体の破損に関しては、「パネルについても、耐風圧を十分に考慮したものを選定するよう設置者に対し求めることを検討」。敷地被害に伴う設備の破損に関しては、「斜面や土地改変された場所における発電設備の設置に関する技術基準を検討する」とした(関連記事:その時、再エネ設備は? 極端気象に襲われた太陽光・風力)。