2019年は単結晶PERC、ハーフセルやマルチバスバーのパネルが増加

 その過程で太陽電池の原料となるポリシリコン分野では、コスト削減のためにメーカーが製造設備を西方に移転させる動きが加速している。PV InfoLinkの統計によると、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、四川省では2019年にポリシリコンの設備容量が60%増加すると見込んでいる。

 第3に、単結晶シリコンの競争力が強化され、2019年にはついに単結晶が多結晶を凌駕するとしている。単結晶シリコンの中国における市場シェアは、2017年の28%から2018年に46%まで拡大したという(図3)。

図3●単結晶シリコンの太陽光パネルは2018年に46%まで拡大、2019年には57%で多結晶シリコンを上回る見通し
図3●単結晶シリコンの太陽光パネルは2018年に46%まで拡大、2019年には57%で多結晶シリコンを上回る見通し
(出所:PV InfoLink)
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 PERC(裏面不動態式)技術を採用した単結晶シリコン太陽光パネルでは、主流の出力が2019年第2四半期には310W/枚に達する可能性が高いと見込む。この出力値は275W/枚の多結晶パネルと比較すると35Wも多いレベルである。このような状況から、中国をはじめとした太陽光パネルメーカーは、単結晶パネルを優先して供給すると予測している。

 第4のトレンドとして、太陽電池セルの大きさと薄さの変化を挙げる。太陽電池セルでは、変換効率を引き上げるのが困難な一方、高出力化のためにセルのサイズを増加させたりより薄いセルとしてコストを抑制したりすることで、単位コスト当たりの出力増加を図ることは比較的容易なためである。

 PV InfoLinkでは、一辺が157mmより長いセルのシェアが2019年に20%に到達し、セルの薄さでは従来の200μm前後から160μmを採用する製造ラインが増加すると見込む。

 第5のトレンドとして、ハーフセルやマルチバスバーといった高出力化技術の採用がより進展するとしている。

 第4のトレンドと同様に、発電効率の改善と比較して容易に高出力化を実現でき、製造装置や歩留まりなどの点でも比較的成熟してきたこと、高出力化技術を採用した製品が市場でもより受け入れられ易くなってきたことが背景にある。