旬な材料
目次
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ポリアミド(polyamide, PA)
ポリアミド
モノマ内にアミド基を持つポリマで,その重合の構造から「PA6」「PA66」(それぞれナイロン6,ナイロン66とも呼ばれている)の両樹脂が中核を占めている。PA6はε-カプラクタムを開環重合させてつくるのが一般的。一方,PA66はアジピン酸とヘキサメチレンジアミンを重縮合させてつくる。
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ポリアセタール(polyoxymethylene, polyformaldehyde, POM)
ポリアセタール
オキシメチレンという分子構造を持つプラスチック。ホモポリマとコポリマの2種類がある。ホモポリマは,基本構造のオキシメチレンが繰り返される重合体である。コポリマは,基本構造のオキシメチレンの繰り返しの中に炭素原子同士の結合が所々に入っている重合体である。
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変性ポリフェニレンエーテル(denaturated polyphenylene ether,変性PPE)
ヘンセイポリフェニレンエーテル
変性PPEは,2,6ジメチルフェニレンオキサイドを重合したポリフェニレンエーテル(PPE)とポリスチレン(PS)のポリマアロイである。「変性」と付けられているのは,この理由による。一般には変性PPEと呼ばれるのだが,最初に実用化に成功した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社は「変性ポリフェニレンオ…
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プラスチック(plastics)
プラスチック
語源は「形をつくることができるもの」という意味だが,一般には石油を原料として生成した大分子量の有機化合物で,元は液状のものを熱や圧力,化学反応などによって自由な形に固化できるものを指す。
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フッ素樹脂
フッソジュシ
分子中にF(フッ素)を含むポリマーの総称である。最も古くから知られているのはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で,炭素原子の周りすべてをフッ素原子で置換してある。表面エネルギーが小さいので,非粘着性や低摩擦性を持つ。耐熱性については280℃近い使用温度を誇る。耐薬品性にも優れ,フッ酸や硫酸にも耐…
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非晶性プラスチック
ヒショウシツプラスチック
PC(ポリカーボネート)のように分子鎖の中に大きな体積を占める原子団が入っていたり,PS(ポリスチレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)のように側鎖に大きな原子団があると,規則性が崩れて非晶性となる。
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熱硬化性樹脂
ネツコウカセイジュシ
成形時の高温によって硬化するプラスチック。鎖のように細長いポリマから枝状に出ている側鎖(そくさ)が,別のポリマの側鎖と結合する「架橋(かきょう)」反応が高温によって進み,ポリマ同士が3次元的に結合し合って動かなくなる。
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熱可塑性樹脂
ネツカソセイジュシ
加熱によって原料全体が軟らかくなり,成形可能な流動性を持つようになるプラスチック。
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熱可塑性エラストマ(thermoplastic elastomer)
ネツカソセイエラストマ
ゴム的性質を持ちながらも射出成形などの溶融成形が可能な高分子材料。ここでゴム的性質とは,ある荷重を材料に与えて変形した後,荷重を取り去ると元の形に戻る性質(ゴム弾性)を指す。
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ケトン系プラスチック
ケトンケイプラスチック
分子構造中にケトン基(C=O)を有するエンプラ。代表はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)。結晶性の熱可塑性樹脂の中では最も高性能な部類に属し,特に耐熱性と耐薬品性に優れる。
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結晶性プラスチック
ケッショウセイプラスチック
ポリオレフィン,PA(ポリアミド),ポリエステルなど分子構造が比較的規則的なプラスチックは結晶性となる。ただし,無機結晶のようにすべて結晶になるわけではなく,必ず非晶性の部分が残る。このため,例えば多くの結晶性プラスチックは光学的にも透明でなく,融点とガラス転移点の両方を持つ。結晶部分は冷却過程で…
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エンプラ
エンプラ
エンジニアリングプラスチックの略称である。名付け親は米Du Pont社で,1960年代にPOMの金属代替用途をアピールする際に使った。その後,工業用途で成形体として使われるプラスチックをエンプラと呼ぶようになった。
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液晶ポリマ(liquid crystal polymer, LCP)
エキショウポリマ
通常,溶融時に液晶状態になる熱可塑性樹脂を指す。広義には,溶媒に溶けたときに液晶状態になるアラミドなども含まれる。前者をサーモトロピックLCP,後者をライオトロピックLCPと呼ぶ。
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イミド系プラスチック
イミドケイプラスチック
分子構造中にイミド基を有するエンプラ。ポリイミド(PI),ポリアミドイミド(PAI)などが相当する。
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アラミド繊維(aramid fiber)
アラミドセンイ
芳香族ポリアミド繊維(aromatic polyamide fiber)のこと。アラミド繊維(aramid fiber)の名は米連邦取引委員会(FTC)が名付けた。
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窒化ケイ素(silicon nitride)
チッカケイソ
耐熱性と靭性などの機械的性質のバランスに優れた,信頼性の高い構造用エンジニアリング・セラミックスである。これは,自動車の各部品に採用されている構造用セラミックスの大部分が窒化ケイ素であることからも分かる。
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炭化ケイ素(silicon carbide)
タンカケイソ
炭化ケイ素は共有結合性の安定した結晶で,特に高温での耐熱性に優れている。窒化ケイ素と比べて,破壊靭性KIcが2.5~5.0MPa・m-1/2とやや低くて信頼性が低い点で,機械部品への浸透が遅れている。
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セラミックス(ceramics)
セラミックス
セラミックスは,酸化物や窒化物,炭化物,ホウ化物などの非金属系無機材料の総称である。身近なセラミックスには,電柱の碍子(がいし)やレンガ,衛生陶器などがある。これに対して工業材料として以前から注目されているセラミックスは,成分や組織,製造工程などが高度に制御されているもので「エンジニアリング・セラ…
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ジルコニア(zirconia)
ジルコニア
ジルコニアは,合金のような一風変わったセラミックス。化学組成はZrO2-Y2O3と,3モル%のイットリア(Y2O3)が添加されている。
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サーメット(cermet)
サーメット
セラミックス(Ceramics)とメタル(Metal)の合成語。我が国ではTiC系,TiN系の焼結体を指すことが多い。硬度が高く,しかも金属加工用の刃物に使ったときに構成刃先(被削材の一部が刃先に粘着してそれが刃先のように振舞うこと)が発生しにくい。