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表1●テクニカルエンジニア試験の概要
図1●テクニカルエンジニア試験の合格者数の推移
 テクニカルエンジニア試験は,ネットワークやデータベースといった技術分野別の高度な知識を認定する試験制度。国家資格である情報処理技術者試験の1区分だ。

 同試験は,4種類に分かれている。「テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験」,「テクニカルエンジニア(データベース)試験」,「テクニカルエンジニア(システム管理)試験」,それに「テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験」である。2000年度まではそれぞれ「ネットワークスペシャリスト」,「データベーススペシャリスト」,「システム運用管理エンジニア」,「マイコン応用システムエンジニア」という名称で実施していたが,2001年度から「テクニカルエンジニア試験」という名称に統合された。

ネットワークの合格率は6.3%

 ネットワーク試験は,ネットワークを計画・設計・構築・運用するエンジニア向け。合格するには,ネットワーク技術だけでなく,システム開発・運用やセキュリティなどに関する深い知識が必要である。データベース試験は,データベース技術に関する高度な知識を問う。ベンダー固有の技術だけを身に付けていても歯が立たない。合格するには,データベースに関する,より根本的な知識が不可欠である。

 システム管理試験は,障害監視などのシステム管理業務やユーザー支援業務に携わるエンジニアを対象にしており,エンベデッドシステム試験は,家電製品などの組み込みシステムを設計できる能力を認定する。

 いずれの試験も,特定の製品に依存しない汎用的な知識を問うことが特徴で,試験問題のレベルは高い。

 それを証明するように,合格率は低い。例えば,2003年度試験ではデータベース試験を1万3518人が受験したが,合格したのは1191人。合格率はわずか8.8%だった。そのほかの試験の合格率も,ネットワーク試験が6.3%,システム管理試験が7.4%,エンベデッドシステム試験が10.8%に過ぎない。

適切な解決策を論述

 試験は4分野とも「午前」,「午後!)」,「午後II」の3科目ある。

 午前試験は全50問の選択式で,制限時間は90分である。午後!)試験は,4問中3問を選ぶ記述式試験。図や表を含む事例を読み,問題ごとに4~6個ある設問に数文字~80文字程度で答える。試験時間は90分。2003年度のテネットワーク試験では,「音声データ統合網におけるネットワーク」や「サーバーの移設」といったテーマが出題された。

 午後II試験は2問中1問を選択し,120分で解答する。午後!)試験と同様,事例を読んで論述する試験だが,午後!)試験に比べてより実際的な知識が必要なことが特徴である。システム構築事例での問題点を分析して適切な解決策を導き出し,それを論述する能力を問う。

 受験者の解答は採点後,偏差値に基づいた200~800点のスコアに変換される。すべての試験で,スコアが600点を超えれば合格だ。ただし,1科目でも600点を下回ると,それ以降の試験は採点されない。

 この合格基準は,2004年1月に情報処理技術者試験センターが初めて明らかにした。さらに同センターは,2004年度春期試験から,全試験区分で受験者が成績照会できるようにする。インターネットや電話などで自分のスコアを確認できる。

 これにより受験者は,合否にかかわらず自分の実力や弱点を確認でき,その後のスキルアップに生かせるようになる。これまで,こうした成績照会ができたのは「基本情報技術者試験」と「初級アドミニストレータ試験」に限られていた。

(力竹)

シーエーシー
生産品質強化本部
設計・インフラ監理センター
統括PMOグループ 担当部長
鹿谷 崇志 氏(43歳)

95年にシステム管理試験に合格

取得者に聞く

資格取得は継続学習の原動力

 食品メーカーのシステム導入プロジェクトでインフラ構築業務に携わり,その時に身に付けた実力を確認しようと受験した。当時,この資格を取得することが社内での昇格の条件になっていたことも,大きな理由だ。

 午前試験は,それほど難しくないという印象だった。運用実務をこなしていれば,十分に対応できると思う。午後IIの論述試験については,自分でいくつかのテーマを設定し,それについて論述するトレーニングを積んだ。

 システム管理者に必要な資質は,ソフトとハードの動きを総合的に考えられる能力だと感じている。そのためには,うわべだけでなくITの基本原理まで理解しようという姿勢が不可欠。目の前の仕事をこなすだけでは,いずれ置いていかれる。

 私自身,もともとの専門はメインフレームのOSやネットワーク管理だった。しかし,オープンシステムが登場してきた時,「このままではまずい」と考えてWindowsの仕組みやプログラムの動作などを猛勉強した。それが,今の自分の基礎になっている。

 部下にも常々「勉強しておけ」と話している。といっても,何か目に見える結果がなければ勉強を継続することは難しい。そこで,資格取得という目安を持つことを薦めている。「自分はここまで達した」という目安があれば,それに向かって努力しやすいからだ。(談)


SRA ネットワーク&
サービスカンパニー
ネットワークサービス部
主任 北村 明彦 氏(31歳)

2002年にネットワーク試験

取得者に聞く

日々の業務が役立った

 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスに常駐し,ネットワーク構築・運用業務に携わっている。この試験は,会社の推奨で受験した。

 実は数年前にも受験したが,この時は合格できなかった。試験内容が現状に合っておらず,古い技術に関する問題が多かったからだと考えている。このため,この資格を取得する必要性が感じられず,しばらく遠ざかっていた。だが,2002年に再度受験してみて「試験内容がかなり現実に近づいた」と感じた。

 常駐先がITの最先端を走る教育機関であることは,とても幸運だと思う。日常的な実務を通じて,高い技術力を身に付けられるからだ。周囲には優れた人材も多く,そうした人たちとのコミュニケーションが自分のスキルアップに大いに役立っている。それに,ちょっとした疑問があっても図書館に行けば解決できる。

 試験に向けた勉強は一切しなかったが,午前試験は余裕を持ってクリアできた。特に,通信速度や故障率に関する問題で得点を稼いだ。午後IIの論述試験にも,日々の業務が役立った。ネットワークの追加・変更や機器導入時には,顧客に対して筋道を立てて説明する必要がある。このため,論理的な文章を書くことには慣れていた。(談)