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 au(KDDIと沖縄セルラー電話)が今週,第3世代携帯電話「CDMA 1X WIN」の料金値下げを発表した(関連記事)。NTTドコモが7月末に発表していた料金値下げ(関連記事)に追随したものと言える。新料金の適用はどちらも11月1日からである。

 この料金値下げは,2006年秋に導入が予定されている,携帯電話の番号ポータビリティ(mobile number portablity=MNP)に備えたもの。MNPとは電話番号を変更せずに携帯電話事業者を切り替えられる制度である。事業者切り替えの最大のネックを取り払うことで,携帯電話事業者のシェアを大きく変動させる可能性を秘めている。

 料金の値下げは,携帯電話事業者にとっては収益悪化の危険性をはらむ。NTTドコモの2005年度第1四半期(2005年4月~2005年6月)は前年同期比で減収となったが,同社はその理由の一つとして2004年に実施した料金割引を挙げている。それでも,新たに値下げに踏み切らざるを得ないところに,同社の苦悩が見える。

 実は日経マーケットアクセスが2005年2月に実施した調査によると,MNPが実施された際に乗り換え先としたい携帯電話事業者の一番人気はauだった。しかし,そのauでさえもNTTドコモの値下げを無視できなかった。

 背景にはサービス面での差別化が難しい携帯電話事業者の事情がある。古くは「写メール」,最近では「着うた」など,ある事業者が投入したサービスが人気を博すと,ほかの事業者に類似のサービスで追随されるということを繰り返している。料金競争に陥らないよう新サービスを開発しても,その効果が短期間で薄れてしまうのだ。

 こうした事情から今回の値下げには,ユーザーの囲い込み強化したい事業者の思惑が強く現れている。auを例に取ると,各料金プランの基本使用料をそれぞれ引き下げたのに加え,「年割」と「家族割」を強化している。年割は割引率を11年目まで毎年引き下げることで,長期間契約しているユーザーを他事業者に逃がさないようにする。家族割は家族という“つながり”でユーザーを引き止めようという狙いが垣間見える。

 ただ囲い込み型の値下げがどれだけの効果を発揮できるかは未知数。例えばソフトバンクやイー・アクセスなど新興の事業者が,大胆な携帯電話料金を打ち出して携帯電話事業に参入してくると,今回の値下げ程度の効果は一気に吹き飛んでしまいかねない。シェアを保ちつつ利益も維持したい携帯電話事業者にとって,料金を巡る苦心は今後も続きそうだ。