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 バッファローは,「家中どこでもつながる」ことをウリにしたIEEE802.11b/g対応の無線LANアクセス・ポイント「WHR-HP-G54」を発売した。新技術によって,20Mビット/秒で通信できる距離を同社の従来製品の2.1倍にした。2階建て木造住宅で実験したところ,家中どこでも23.7Mビット/秒以上のスループットでファイルを転送できたという。

 無線通信で遠くまでデータを届ける一番の方法は,送信電波の出力レベルを上げること。ただ,最大出力は電波法で決まっている。そこでバッファローは,送受信系回路やソフトの改良に加えて,アンテナの効率を改善した。今回は,そのアンテナの工夫について見ていく。

 実は,無線LANの電波に限らず,電波にはすべて振幅の向き(偏波)がある。偏波にはさまざまなパターンがあるが,すべての偏波は,振幅が地面と水平方向の水平偏波と,垂直の垂直偏波の二つの成分に分解できる。

 一方アンテナは,その向きによって送受信できる偏波が決まる。無線LANアクセス・ポイントに付いている棒形のアンテナでも同じで,アンテナの向きと一致する偏波の電波を送受信する。受信アンテナを立てている状態であれば,電波の垂直偏波の成分だけを受信し,水平偏波の成分は受信できない。

 実際にアクセス・ポイントに到着する電波の偏波成分はまちまち。無線LANの電波は,反射や屈折を繰り返す過程で偏波が変わっていく。つまり,通信相手の場所などの条件によって,偏波成分は時々刻々と変わるわけだ。実際に届く電波をどれだけ受信できるかはアンテナの向き次第。運よく電波の偏波が受信アンテナの向きと一致すれば出力の100%を受信できるが,運悪く偏波とアンテナの向きが90度ずれていると電波をほとんど受信できない。

 そこでWHR-HP-G54は,垂直偏波用と水平偏波用の2本のアンテナを用意し,受信強度が強いほうの電波を受信することにした。こうすれば,最悪でも50%の電波を受信できる。

 アンテナの切り替えはフレーム単位。使用中のアンテナがフレームに先立つ同期信号(プリアンプル)を受信している最中,もう一つのアンテナが受信する電波の方が強度が強ければ,受信アンテナを切り替えるわけだ。フレーム単位でアンテナを切り替えるので,通信相手ごとに偏波に違いがあったり,時間によって偏波が変わっても,常に最適なアンテナで受信できる。

 ただし,このようなアンテナの切り替えが可能なのは,電波を受信するときだけ。無線LANでは相手の受信状況を常に監視しているわけではないので,送信時にアンテナを切り替えるのは無理だ。そこで,バッファローは,同様の二つのアンテナを内蔵したPCカード型無線LANアダプタ「WLI-CB-G54S」も同時に発売した。この二つの製品を組み合わせて使えば,送受信両方とも,到着する電波の偏波に合わせてアンテナを切り替えながら通信できるようなる。それだけ利用できる距離が延びるわけだ。