PR

舩橋 哲也 NTTコミュニケーションズ ユビキタスサービス部 企画グループ長
粕谷 敏信 NTTコミュニケーションズ ユビキタスサービス部 ワイヤレスソリューショングループ

無線通信システムは無線LANや携帯電話など様々ありますが,主に近距離で物品の情報を識別するものが「RFID」。最近は無線LANとの組み合わせも注目を集めており,例えば位置検出技術を利用して物品の位置管理を手軽にするソリューションも登場しています。

 無線LANの応用例を広げる手段として,RFID(radio frequency identification)との組み合わせが注目を集めています。RFIDは,情報を格納したICチップとアンテナを内蔵したタグ型やカード型の製品(RFIDタグ)と,その情報を読み書きするリーダー/ライター装置で構成される無線通信システムの一つです。物品にRFIDタグを張り付け,固有情報を識別して物品管理する用途に多く利用されます。

 RFIDタグとリーダー/ライターは決められた周波数帯の電波を用いて通信します。RFIDタグは電池が必要なタイプと不要なタイプがありますが,電池不要タイプの方がコストが安く一般的です。

図1 RFIDとバーコードの違い バーコードが赤外線やカメラなどで読み取るのに対し,RFIDは電波を使って読み書きする。例えば同一品目の菓子が10個あった場合,バーコードでは1種類の識別子をすべてに割り当てることになるが,RFIDでは10個それぞれに個別の識別子を割り当てられる。
図2 無線LANとRFIDを組み合わせて自動車の位置管理に利用した例 車両に張られたRFIDタグをPDAのRFIDリーダーで読み取れば,車両の保管位置を手軽に管理サーバーに登録できる。
 RFIDは,商品在庫の把握など流通管理への適用が検討されています。現在こうした用途では一般にバーコードが使われていますが,無線通信を利用することで格段に扱いやすくなります(図1[拡大表示])。

 1980年代に実用化が始まりましたが,大型かつ高価で機能も制限されており利用は広がりませんでした。最近は半導体技術の進展で小型化,低価格化,高性能化が可能となりつつあります。例えば製造業での生産管理や,生鮮食品の履歴追跡などへの試験導入が始まっています。ただし1枚当たり数十円程度とまだコストが高いため,バーコードに取って代わるまでは普及していません。

無線LANと組み合わせて適用範囲広げる

 RFIDタグのICチップ内に保存できる情報は,種類にもよりますが数十ビット~数kバイト程度。そのため商品カテゴリ,商品名,値段などの商品データを登録したサーバーと連携し,RFIDタグの識別情報とサーバーに蓄積した商品情報を対応付けて管理する手法が一般的です。商品データベース・サーバーとリーダー/ライターは,ネットワークで結びます。こうした利用法の代表例が,JR東日本が導入している「Suica」やコンビニエンスストアなどで使える電子マネー「Edy」です。

 SuicaやEdyではリーダー/ライターは固定して設置されています。一方でリーダー/ライターに無線LANを搭載すれば,リーダー/ライターを持ち歩けるように出来ます。RFIDタグ側を動かさなくて済むため,自動車など大型の物品の管理がしやすくなります。

商品の位置を検出,展示管理を高度化

 最近,無線LANを使って端末の位置を検出するシステムが登場しました。RFIDと組み合わせることで,商品の位置情報を手軽に更新して管理できるソリューションも実現されています。NTTコミュニケーションズなどは,中古車オークション会場で「その車が今どこにあるか」という車両位置管理ソリューションの実証実験を行っています。

 従来は会場内で車両を移動するたび,車両管理データベースの車両位置情報を人手で更新していました。今回のソリューションは,RFIDと無線LAN位置検出の組み合わせで車両位置の登録を簡略化して,手間を削減します。以下でその仕組みを説明します(図2[拡大表示])。

 敷地内の商品である中古車すべてに,固有の識別情報を持ったRFIDタグを張り付けておきます。車両管理サーバーではRFIDタグの識別情報と車種・年式・色などの車両情報,車両の展示場所を対応付けて管理。位置検出サーバーは,常に無線LAN端末の位置を測定します。

 車両が移動するたびに,RFIDリーダーを搭載したPDA(携帯情報端末)で車両のRFIDタグを読み取ります。読み取った情報は,PDAから無線LAN経由で車両管理サーバーに送ります。同時に位置検出サーバーが,PDAの現在位置を車両管理サーバーに送出。車両管理サーバーは,送られた2種類の情報から車両の展示場所の情報を更新します。

 このシステムの位置検出には,無線LAN端末が発した電波が複数のアクセス・ポイントに到達する際の時間差を元に位置を検出する「TDOA(time difference of arrival)方式」を採用しています。このほか,複数のアクセス・ポイントが受信した電界強度の違いから位置を検出する「RSSI(received signal strength indicator)方式」などがあります。

 なお端末の位置検出にはGPS(global positioning system)が既にありますが,ビルや倉庫などの建物内では使えず,さらに数m単位の精度での位置検出には向いていません。