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 8月上旬、激化する緑茶飲料市場でトップシェアを維持する伊藤園の強さを探るため、同社の営業拠点を訪れた。伊藤園は全国192カ所に営業拠点を置き、販売店や自動販売機に自社の営業担当者を直接派遣する「ルートセールス」という独自の販売体制を敷いている。このルートセールスが伊藤園の好業績を支えているといってもよいだろう。詳細は9月24日発売の日経情報ストラテジー11月号で紹介する。

 私が取材したのは東京都足立区にある営業拠点「荒川支店」である。取材開始時刻は午前10時を指定された。当日は曇りがちの天気だったが現場の気温は30度を超え、朝から非常に蒸し暑い。荒川支店の1階にある商品倉庫や、商品を積んで走る営業車の駐車場はかなりの暑さだった。

 9時45分、少し早めに現地に到着すると、荒川支店のルートセールス担当者はちょうど朝礼を終えた様子である。担当者は皆、手に営業端末を持って営業拠点の階段を駆け下り、各自の営業車に乗り込んで駐車場から次々と消えていった。取材時刻を10時に指定されたのは、大半のルートセールス担当者が慌しく出かけていく9時台の混乱を避けて、取材を始めるためだったようだ。

 急に人が減った倉庫と駐車場付近で、現場に残ってくれた数人のルートセールス担当者の取材と写真撮影を開始した。今回の記事では、彼らの毎日の仕事の手順や、2月に導入したばかりの営業端末の使い方などを取り上げる。それを現場で、担当者自身に詳しく教えてもらった。

 そうしている間にも、私とカメラマンは汗だくである。ルートセールス担当者が着ている緑のポロシャツにも、汗がにじみ始めている。とにかく屋外は暑い。

 しかし、彼らの仕事は、まだ始まっていない。これから街に出かけ、暑いなかを走り回り、1日20台近い自販機に商品を補充していく。慣れた作業とはいえ、飲料が詰まった箱はかなり重い。緑茶が飛ぶように売れる夏場は飲料メーカー最大の稼ぎ時だが、一方で体力の消耗が激しい夏場は商品の積み降ろしや台車での運搬がさぞかしきついことだろう。

 短時間であるが、そうした彼らの仕事の一端を目の当たりにし、今回の取材のメインテーマであるルートセールスの業務改善がよく分かってきた。

 新しい営業端末は、ルートセールス担当者の仕事の負担を少しでも軽減したいという目的で導入されている。それが達成できれば、結果的に全体の作業効率が上がり、会社は人件費を削減できる。商品の鮮度も向上し、在庫や欠品が減る。伊藤園にとっては、良いことだらけだ。
 
 そのためなら、営業端末の導入に先行投資するのもうなずける。営業端末を使って正確な販売本数を調べ、必要な分だけ在庫を運べばいいなら、ちょっとでも重量負担は減る。私も現場で大量の汗をかきながら、そのことが実感できた。