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千村 保文 沖電気工業IPソリューションカンパニー バイスプレジデント(兼)IP電話普及推進センタ長
新井 英樹 沖電気工業IPソリューションカンパニー ソリューション開発本部 キャリアNWソリューション開発部課長

050番号からの緊急通報は0AB~J番号と実現方法が異なります。050番号の端末は携帯電話と同じで利用場所が制限されていません。そこで,端末の場所を常時管理できる仕組みが必要になってきます。無線IP電話ではGPSの利用も提案されています。

 前回は0AB~J番号のIP電話/IPセントレックスにおける緊急通報について説明しました。しかし,IP電話/IPセントレックスで主役となるのはIP電話専用の電話番号である050番号です。総務省によると,2004年9月末の時点で,0AB~J番号のIP電話のユーザーは8万人に過ぎないのに対し,050番号のユーザーは694万人です。0AB~J番号と異なり,050番号では緊急通報が必須機能ではありませんが,その実現を求めるユーザーは多いと思われます。

 総務省の情報通信審議会が1月に発表した「IPネットワークにおける緊急通報等重要通信の確保方策案」では,050番号を持つIP電話端末からの緊急通報について言及しています。今回は同方策案をベースに,考えられる緊急通報の実現方法を解説します。

「どこでも使える」050番号で位置を通知する

 緊急通報では発信した端末の位置情報(住所)を呼制御サーバーが取得できることが必須です。住所が分からないと,緊急通報を警察/消防/海上保安庁の指令台につなげません。また,事件現場などへの迅速な人員派遣もできません。

 一方,050番号の特徴の一つは携帯電話と同様に「端末の利用が地理的に限定されていない」ことです。050番号の端末はIPネットワークに接続されていれば,どこででも使えます。この点が利用場所を1カ所に決められている0AB~J番号の端末と大きく異なります。そこで,「どこででも使える」という050番号の特徴に合わせた位置情報の通知方法が重要になってきます。

図1 050番号の緊急通報では利用する場所をあらかじめ位置情報管理サーバーに登録しておく
図2 無線IP電話や代表番号を使う場合はAPやスイッチなどの位置情報を端末の位置情報として通知する 実際には位置情報管理サーバーを介して指令台に通知。

利用場所を事前に登録する

 まず,050番号の端末の所在場所を常時把握するための仕組みが必要です。これは,IPネットワーク内に「位置情報管理サーバー」を設置することで実現します。このサーバーはIP電話/IPセントレックス・サービスを提供する事業者が運営することになると思われます。位置情報管理サーバーが指令台へ端末の位置情報を送信します。

 IP電話機やソフトフォンを持ち歩く利用者は,利用する事業所などの住所を事前に位置情報管理サーバーに登録します。例えば,「050-XXXX-1234」という番号の利用者が東京,名古屋,大阪の各事業所へ出張する可能性があるなら,事前に登録し,その事務所の位置情報も登録します(図1[拡大表示])。

 端末が移動すれば,その度に移動場所をサーバーに通知します。例えば,パケットが大阪事務所のルーターを経由していれば端末が大阪にあると自動判断してサーバーに通知する方法などが考えられます。このように端末の位置情報を常に管理することで,緊急通報が可能になります。

 逆に,図1の福岡事務所のように番号を登録していない場所では,緊急通報ができません。もっとも,端末を使っている場所が緊急通報に対応しているのかどうかをユーザーが判断するのは困難です。今後は緊急通報への対応/非対応をユーザーに分かりやすく表示する機能が端末側に必要となるでしょう。

無線IP電話はAPの位置情報を通知

 050番号が使える無線IP電話も登場しています。無線IP電話での位置情報通知は,端末の代わりに無線LANアクセス・ポイント(AP)の位置情報を通知することで代替します(図2[拡大表示])。APのカバー・エリアは最大でも数十メートル程度なので,端末の位置と同じだと見なしても実用上問題はないでしょう。端末が移動し,ハンドオーバーした場合は,ハンドオーバー先APの位置情報を再度送信することもできます。

 さらに,総務省の方策案は,GPSの利用も提案しています。これは携帯電話でも提案されている方法です。携帯電話では,緊急通報時にGPSを使う位置情報通知が2007年4月に始まる予定です。無線IP電話機がGPS機能を内蔵すれば,端末の緯度,経度,高度を指令台に通知できるようになります。既に一部の携帯電話端末はGPS機能を備えています。今後,無線IP電話機がGPS機能を内蔵する可能性も高いといえるでしょう。