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図1 スカイプは一般的なメッセンジャーソフトと同等の機能を備えている。専用ソフトをインストールして起動するとチャットやファイル転送が行える。マイクとスピーカーが一体になったヘッドセットやスカイプ専用の端末を用意すれば音声通話も可能になる
図1 スカイプは一般的なメッセンジャーソフトと同等の機能を備えている。専用ソフトをインストールして起動するとチャットやファイル転送が行える。マイクとスピーカーが一体になったヘッドセットやスカイプ専用の端末を用意すれば音声通話も可能になる
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図2 スカイプを起動しているパソコンの一部は、自動的にユーザーの所在情報などを持つスーパーノードに設定される。スーパーノードはいくつかのグループに分かれ、互いのユーザー情報を交換し合うことで、スカイプユーザー同士が音声などの情報をやり取りできる
図2 スカイプを起動しているパソコンの一部は、自動的にユーザーの所在情報などを持つスーパーノードに設定される。スーパーノードはいくつかのグループに分かれ、互いのユーザー情報を交換し合うことで、スカイプユーザー同士が音声などの情報をやり取りできる
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 「スカイプ(Skype)」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。スカイプは、インターネットを使って、音声や文字、ファイルをやり取りするソフトである(図1[拡大表示])。このソフトをパソコンにインストールし、マイクとヘッドホンを使えば、パソコンを電話として利用できる。

 ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズ社が開発したこのソフトは、音声通話の品質が良く、無料でダウンロードできる。このため、格安な電話ソフトとしてビジネス分野で注目を集め始めている。では、スカイプは本当に使いものになるのか。今号から3回に渡って、スカイプの特徴や仕組み、使い方などを解説していこう。

IP電話代わりにならない

 スカイプは、コスト意識の高い欧米諸国などでは、すでに浸透し始めている。なかでもアメリカやイギリス、フランスなどでは、スカイプに対して電話番号が割り当てられている。固定電話への発信、および固定電話からの着信が可能で、スカイプが一般の電話と同等に扱われている。スカイプを内蔵する専用端末も登場しており、今後、屋外の公衆無線LAN環境が整備されれば、携帯電話として使える可能性もある。

 ただし、国内の状況はこれとは大きく異なる。固有の電話番号を割り付けることを、総務省が認可していないのだ。このため、固定電話や携帯電話などからの着信をスカイプで受けることができない(一度海外に電話してから着信させるという複雑な手段を使えば可能)。総務省はその理由として、インターネット網を使うスカイプでは、一定の通話品質が保証できない点などを挙げている。当然、110番や119番などの緊急用番号にも、スカイプからかけることはできない。欧米とは異なり、国内においては現時点で、スカイプが既存電話を置き換えるとは考えにくい。

 スカイプを使うには、パソコンやPDAなどインターネットに接続できる機材のほか、マイクやヘッドホンを用意する必要がある。IP電話のように固定電話の電話機を流用することもできず、着信を受けるには、スカイプを起動している端末(パソコンなど)を常につけっ放しにしておく必要がある。この「まどろっこしさ」が、国内ユーザーに受け入れられるのかも疑問だ。

通話料は固定電話より割安

 このように、スカイプは固定電話の置き換えとしては使えない。しかし、スカイプは通話料や必要な設備費などトータルコストが安く、電話にはない機能もある。社内や取引先間など一部のグループに限定して使えば非常に有用なツールだ。

 次のページの上の表は、スカイプと固定電話との通話料金を比較したものだ。スカイプ同士の通話ならば無料。スカイプから固定電話にかける場合は、別途申し込みが必要になるが(詳細は後述)、他のIP電話よりも割安になっている。

 例えば、企業内の内線電話として使えば、発信の通話料を抑えられるうえ、費用負担が大きい交換機(PBX)の導入が不要になる。必要な設備はインターネット接続環境と音声を入出力するヘッドセットだけ。代表電話用には固定電話を数回線用意すればいい。数百~千人以上の大企業ならともかく、100人以下の規模が小さい企業なら導入しやすい。

 海外との取引が多い企業や海外支社を持つ企業なども、スカイプを導入するメリットは大きい。互いにパソコンをインターネットにさえ接続できれば、割高な国際通話料が無料になる。さらに、スカイプでの通話は、音質も良く、音声の遅延なども抑えられる。スカイプが、通信品質に応じてデータ転送経路を切り替えたり、音声の圧縮率を自動的に切り替える仕組みを持っているためだ。

 ビジネスに不可欠な会議や打ち合わせといった場面でも、スカイプは活用できる。スカイプは、最大5人までの同時通話に対応している。パソコンの前で話し合えるため、実際に足を運ぶ必要はない。会議室の確保のような手間も不要だ。ちょっとした用件なら、文字で情報を交換するチャット機能が使える。例えば、製品開発のような細かな連携が必要な職場では、会議や打ち合わせをするより、必要な情報を文字で残していく方が効率が良いだろう。

 ただ、インターネット上でのやり取りとなると、危惧されるのは盗聴などセキュリティ面での不安だ。スカイプでは通信データを暗号化して送ることで、一定のセキュリティを確保している。この暗号化にはAESという比較的堅ろうな暗号方式が使われている。通話やチャット内容が外部に漏れる心配はほぼないだろう。

スーパーノードで通信する

 スカイプの仕組みについて、もう少し詳しく説明しよう(図2[拡大表示])。スカイプの音声通話は、基本的にインターネット上の相手と1対1(ピア・ツー・ピア)でやり取りする。しかし、最初にユーザーが通話をする相手のパソコンに接続するときは、ネット上に存在する特別なパソコンを介して通信が行われる。そのパソコンが「スーパーノード」だ。

 スーパーノードは、スカイプを起動している一般ユーザーのパソコンから、1000台に1台くらいの割合で自動的に選ばれる。スーパーノードの条件は、グローバルIPアドレスを割り当てられた高性能のパソコンだという。スカイプのユーザー数に合わせて、スーパーノードも自動的に増える仕組みだ。

 スカイプソフトを起動すると、そのパソコンはインターネット上で必ずどこかのグループに所属することになる。スーパーノードは、複数あるグループのうちの1つを管理し、スカイプ搭載パソコンのスカイプ名やIPアドレス情報を格納する。

 あるユーザーが通話する場合、まず自分のパソコンが属するグループのスーパーノードに、相手のIPアドレスなど、通信に必要な情報を問い合わせる。すると、スーパーノード間でユーザー情報の問い合わせが行われ、相手のユーザー情報を管理しているスーパーノードが、IPアドレスなどを発信元のパソコンに通知する。発信元のパソコンはその情報を元に、着信先のパソコンに接続して、通話ができるようになるのだ。