ソニーは9月に発売する新製品のラインアップのうち、「VAIO typeA」(写真)をネット限定で販売する
ソニーは9月に発売する新製品のラインアップのうち、「VAIO typeA」(写真)をネット限定で販売する
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NECはネット直販サイト「NEC Direct」の利用方法や取り扱い製品をまとめた専用カタログを整備。希望するユーザーには郵送する。月に数千冊を発送している
NECはネット直販サイト「NEC Direct」の利用方法や取り扱い製品をまとめた専用カタログを整備。希望するユーザーには郵送する。月に数千冊を発送している
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 国内大手パソコンメーカーが相次いで、新しい直販戦略を打ち出している。パソコンメーカーはネット直販をきっかけにつかんだ顧客に対し、サポート、修理、アップグレード、下取りというサービスを継続的に提供し、次にパソコンを買い換えるまでのサイクルを自社内で完結させることを目標に掲げている。買い換えサイクルに囲い込む顧客の層を厚くするために、直販専用モデルの投入などでハイエンドユーザーに訴求する従来の販売手法に加えて、エントリーユーザーへの対応も強化する「二正面作戦」をとる。

 NECは8月11日、直販サイト「NEC Direct」(http://www.necdirect.jp/)で販売するデスクトップ「VALUESTAR G」に、省スペース型の水冷モデル「タイプC」を追加した。VALUESTAR Gの多くは、店頭でも同じモデルを販売しているが、このタイプCはネットのみでの取り扱いとなる。4月に発売した水冷モデルが、店頭での販売実績では、デスクトップの売り上げ台数の5%にも満たなかったにもかかわらず、ネット販売では約5割を占めたことを受け、ラインアップの強化を図る。ノートも、横長液晶を採用した携帯型「LaVie G タイプA」にNEC Direct限定色を用意するなど、直販専用製品を強化していく。

 ソニーは、秋冬モデルのデスクトップのうち3タイプに、同社直販サイト「SonyStyle」(http://www.jp.sonystyle.com/)の専用モデルを用意。これらは、スピーカーパネルの色やセットするディスプレイなどをユーザーが選べる。

 また、ネット販売ならではのカスタマイズサービスを「VAIO・OWNER・MADE」と名付け、この秋冬商戦から大々的に打ち出した。ノートは全機種が「オーナーメイド」対応だ。この「オーナーメイド」サービスは、店頭での対応窓口も全国10カ所以上に展開していく方針だが、当面は「SonyStyle」での取り扱いが中心になる。

 富士通も、携帯ノートの「FMV-BIBLO LOOX T」で、直販サイト「WEB MART」(http://www.fujitsu-webmart.com/)限定のカラーバリエーションを用意している。さらに、ネットのみで提供しているカスタマイズ可能なモデルは、保証期間を3年間に延長するなど、店頭販売製品との差異化を図っている。

ユーザー層の広がりに対応

 インターネットの利用者が増えるにつれ、エントリーユーザーもネット直販を使い始めた。しかし、「選択肢の豊富さに迷い、買う決断ができないユーザーが増えている」(富士通Web販売統括部中藤慶一郎プロジェクト部長)状況も各社共通の課題。この点を解決するための取り組みが進められている。

 富士通は2004年春、購入前の電話相談窓口をサポートから独立させ、WEB MART専用で新たに設置した。当初、20~30人程度だったコールセンター要員を現在では100人弱まで増員している。実際の店舗で若い店員に初歩的な質問をするのは気後れするという高齢者などからの電話相談が増えているためだ。相談後、そのまま電話での購入申し込みにも応じる。

 NECは購入前相談のほか、2004年9月からNEC Directのオリジナルカタログ(上図[拡大表示])の送付サービスを実施している。発送実績は月に数千冊に上る。また、従来は上位機種を中心に販売が伸びていたが、初心者の増加につれ、売れ筋が変わってきた。今年7月からは、店頭販売モデルのネット販売も新たに始めた。

 もちろん、各社とも総販売台数に占める直販の割合はまだ小さい。しかし、売り上げの伸び率でみると話は別だ。

 NECは、2004年度は台数ベースで前年度の1.5倍、今年度もほぼ同様の伸びを見込む。富士通もネット直販開始からの販売台数を年単位で平均すると前年比150%ほどになる。ソニースタイルも昨年度200億円だった売り上げを今年度は300億円程度まで引き上げる見通しだ。

 ネット直販利用者のすそ野の広がりが売り上げの伸びを支えていることは間違いない。買い換えサイクルの入り口に当たるネット直販の増加はメーカーよるユーザーの囲い込みが進むことにつながる。