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 Linux搭載サーバーが売り上げを急速に伸ばしている。従来の主要分野であるエッジサーバーが堅調な上、金融業界などを中心に、業務システム分野にも採用が進んでいる。メインフレームクラスの大規模サーバー分野にLinuxを適用する動きも加速している。



 日立製作所は9月15日、高信頼性が求められる基幹システムにLinuxを適用するための新サービス「信頼性強化サービス」を発表した。運用保守フェーズ向けのサービスで、障害解析のためのダンプ取得ツールの適用や、問題が発生した際のソースコードレベルでの障害解析や修正モジュール提供、性能問題の対策支援などのメニューからなる。

 新サービスは、UFJ銀行の基幹システム向けに今年4月から提供しているサービスをベースに、今回体系化したもの。日立の熊崎裕之ソフトウェア事業部プラットフォームソフトウェア本部OSSテクノロジセンタセンタ長は「Linuxの基幹システムへの適用が広がっており、高信頼へのニーズが強くなっている」と話す。

 Linuxは、Webサーバーやメールサーバーといったフロント系システムだけでなく、業務アプリケーション分野でも利用が進んでいる。特に、通信業界や金融機関で、料金システムや口座振替システムといった基幹系システムで採用する動きが拡大している。富士通の杜若尚志プラットフォームソリューションセンタープロダクトマーケティング統括部Linux部部長は「UNIXやWindowsの基幹システムへの採用が進まなかった金融機関は、Linuxを採用しやすい」と話す。

大規模サーバーへの採用が進む


図●日本市場における主なLinux を搭載したIA サーバーの出荷台数(本誌推定)
 適用分野が広がり、Linuxを搭載するIAサーバーの売り上げは急増している。サーバーメーカー主要7社の2005年度のLinuxサーバーの出荷台数は、2004年度の7万750台から28%増加し、9万500台に達する見込みだ(図、本誌推定[拡大表示])。

 業務システムへのLinux採用が進むことで、ソリューションプロバイダには、システム開発や運用保守といったビジネスチャンスがが広がっている。それを受けメーカー各社は、ソリューションプロバイダのLinuxビジネスを支援する狙いで、サポートサービスや教育などを強化している。日立の信頼性強化サービスも、販売パートナー経由での提供を狙っている。

 今年に入って、Webアプリケーションサーバーなど、オープンソースミドルウエアのサポート強化も相次いだ。例えばNECは今年6月から、JBossやTomcatなどのサポートサービスを始めた。日本ヒューレット・パッカードも今年7月、JBossのサポートとJBossを使ったシステム構築のコンサルティングサービスを開始している。

 大規模サーバーにLinuxを適用する動きも広がっている。メインフレーム「zSeries」で先鞭を付けた日本IBMでは、Linuxを搭載したzSeriesの売り上げが、2004年度に前年比40%増と急拡大した。ERP(統合基幹業務システム)やWebアプリケーションといった非レガシー分野の利用が、zSeriesの売り上げの約6割を占める。

 IBMだけではない。富士通は、インテルのItanium2を最大32個搭載できる基幹システム向けのIAサーバーPRIMEQUESTを今年6月に出荷。チップセットやメモリーなど主要部品を二重化することで信頼性を高めた製品だ。すでにPRIMEQUESTの商談は400件あり、その6割がLinuxの案件だという。ミッドレンジ以下のIAサーバーでは、引き続きWindowsが多数を占めるが、ハイエンド分野では、Linuxが本命OSとして存在感を増しているのだ。

 加えてメーカー各社は、仮想化技術を使ったサーバー統合のソリューションの提供に力を入れている。VMwareに代表される仮想化ソフトを使って、LinuxやWindowsなどの複数のOSを、1台のサーバーで同時に稼働させるもので、Linuxシステムの拡大を後押しする。

IBMがシェアトップを堅持

 2004年度のシェアトップは、xSeriesだけで1万7500台販売した日本IBM。IAサーバーの販売に占める割合は30%に上る。澁谷慎太郎xSeries & IntelliStation事業部マーケティングHigh Valueマーケティンググループグループリーダー「当社は6年間Linuxに取り組んできた。Linuxはすでに当たり前の商材になっている。早期にLinuxを導入したユーザーのリプレース案件も増えている」と話す。

 日本IBMは現在、LinuxとWebSphereやDB2などIBM製ミドルウエア上で稼働するアプリケーションの品ぞろえに力を入れている。その典型が、レッドハットと共同で展開する“Solaris対抗”のISV(独立系ソフトベンダー)向けのプロモーション。Solaris向けのアプリケーションを提供するISVをターゲットに、IBMがハードを提供して稼働テストを実施するなど、Red Hat Linux上で稼働するアプリケーションの開発を支援する。2005年度は、前年比20%増の2万1000台の出荷を見込む。

 2位のNECは、2004年度に1万7000台を出荷。Linuxに力を入れる販売パートナーが増えており、現在Linuxの出荷の4割が販社経由。間接販売では、医療分野向けなど、Linuxと業務アプリケーションと組み合わせたターンキーシステムの販売が伸びている。

 今年7月に発表したデータセンター専用製品Express5800/i110Ra-1hの販売が好調なほか、通信事業者向けの大口案件も後押しして、2005年度は前年比29%増の2万2000台の出荷を見込む。

エッジサーバーに注力するデル

 日本HPは、Webサーバーや、アプリケーションサーバーの領域で大きく売り上げを伸ばし、2004年度に1万1000台を販売。ブレードサーバー16台によるアプリケーションサーバーの性能検証を実施し、スケールアウト型の大規模システム向けの販売を強化している。

 今年4月には、Itanium2プロセッサを最大128個搭載できる同社のハイエンドサーバー「HP Integrity Superdome」の対応OSに「Red Hat Enterprise Linux 4」を追加したほか、レッドハットに専属の技術者を置いて、障害時などに迅速に対応できる体制を整えるなど、サポートも強化。2005年度は1万4000台の出荷を見込む。

 ハイエンドサーバー領域に注力分野を広げる他メーカーと対照的なのが2004年度に8000台を販売したデルだ。同社は引き続き、Webサーバーやメールサーバーなどのエッジサーバーを主力に据える。Red Hat Enterprise Serverを3年間のサポート付きで9万円でOEM提供するなど、低価格が売り。今後は、より安価なOSの採用も視野に入れており、低価格戦略を加速する狙いだ。

 2004年度に1750台を販売したサン・マイクロシステムズは、新サーバーの投入をテコに、2005年度は前年比71%増の3000台を狙う。同社は9月16日、高速、省電力を特徴とする新設計のサーバーSunFire X4100/X4200を発表した。製造業向けのEDA(半導体設計支援)やCADなど、Linuxのアプリケーションが普及している高速演算システム向けを中心に拡販する計画だ。