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図1●System Center Data Protection Manager(DPM)が動作する流れ<BR>(1)最初にファイル・サーバーの共有フォルダ全体をDPMサーバーにコピーする。(2)以後は変更された差分データをDPMサーバーにコピーする。また定期的にシャドウ・コピーを作成する。(3)シャドウ・コピーを利用して,クライアントからある時刻のファイルを復元できる。各サーバーとクライアントはActive Directoryに登録しておく必要がある。
図1●System Center Data Protection Manager(DPM)が動作する流れ<BR>(1)最初にファイル・サーバーの共有フォルダ全体をDPMサーバーにコピーする。(2)以後は変更された差分データをDPMサーバーにコピーする。また定期的にシャドウ・コピーを作成する。(3)シャドウ・コピーを利用して,クライアントからある時刻のファイルを復元できる。各サーバーとクライアントはActive Directoryに登録しておく必要がある。
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図2●Data Protection Managerでファイル・サーバーのバックアップ/復元をする手順&lt;br&gt;画面は日本HPのDL380で試した製品評価版のもの。
図2●Data Protection Managerでファイル・サーバーのバックアップ/復元をする手順<br>画面は日本HPのDL380で試した製品評価版のもの。
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図3●DPMサーバーのコンソール画面&lt;BR&gt;[監視]はエラー・メッセージなどを表示する。[保護]はバックアップ対象の共有フォルダなどを設定する。[回復]はファイルを復元する。[レポート]はディスクの使用状況などのレポートを表示する。[管理]はエージェントをファイル・サーバーへリモート・インストールする。画面は製品評価版のもの。
図3●DPMサーバーのコンソール画面<BR>[監視]はエラー・メッセージなどを表示する。[保護]はバックアップ対象の共有フォルダなどを設定する。[回復]はファイルを復元する。[レポート]はディスクの使用状況などのレポートを表示する。[管理]はエージェントをファイル・サーバーへリモート・インストールする。画面は製品評価版のもの。
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図4●クライアントから復元するときの画面&lt;BR&gt;あらかじめクライアントにエージェントをインストールし,DPMサーバー側でクライアントからの復元(回復)を設定しておく。(1)共有フォルダ内のファイルを右クリックしてプロパティ画面を開き,(2)[以前のバージョン]タブを選択する。(3)ここで復元したいファイルを選択して,(4)[表示][コピー][復元]の操作を選択する。画面は製品評価版のもの。
図4●クライアントから復元するときの画面<BR>あらかじめクライアントにエージェントをインストールし,DPMサーバー側でクライアントからの復元(回復)を設定しておく。(1)共有フォルダ内のファイルを右クリックしてプロパティ画面を開き,(2)[以前のバージョン]タブを選択する。(3)ここで復元したいファイルを選択して,(4)[表示][コピー][復元]の操作を選択する。画面は製品評価版のもの。
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▼マイクロソフトは,ハードディスクにバックアップするファイル・サーバー向けバックアップ・ソフト「System Center Data Protection Manager 2006(DPM)」を2005年10月に正式出荷する。
▼DPMは,エンドユーザーに復元作業を任せるのが特徴。誤って共有ファイルを上書きしてしまった場合,管理者の手を煩わせることなく,エンドユーザーがクライアントのエクスプローラからファイルを復元できる。

 マイクロソフトが2005年10月に正式出荷する「System Center Data Protection Manager 2006(DPM)」は,従来のテープ・バックアップの欠点を補うバックアップ・ソフトである。テープ・バックアップは,いったん設定しておけば作業を自動化できるが,データの復元は管理者が行わなければならない。復元作業は,該当するテープをテープ装置にセットし,バックアップ・ソフトのコンソールから復元したいファイルを指定するなど,手間がかかる。DPMはエンドユーザーにリストア作業を任せることで,管理者の負担を軽減できる(図1[拡大表示])。

 DPMを利用するには,Windows Server 2003またはWindows Storage Server 2003のサーバーに同製品をインストールするか,サーバー・ベンダーが出荷を予定しているDPMのプリインストール・マシンを購入する。

 DPMによるバックアップは,Windows Server 2003が備えるボリューム・シャドウ・コピー・サービス*(VSS)をインフラとして利用しているが,さらに付加価値がある。例えば,ネットワーク経由で遠隔にあるDPMサーバーにバックアップできる点,複数のファイル・サーバーのバックアップを統合管理できる点,Windows 2000サーバーもバックアップ対象にできる点などである。マイクロソフトは「DPMは単なるバックアップ・ソフトではなく,“データ復旧サーバー”と位置付けている。復元作業をするエンドユーザーに特別な教育は必要ない。いざというときは誰でも使える消火器のようなソフト」(井口倫子サーバープラットフォームビジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャ)と説明している。

ディスクに差分をバックアップ

 ディスクにバックアップするDPMでは,大容量のハードディスクが必要になる。マイクロソフトの推奨では,ハードディスク容量はバックアップ対象となるデータ量の2~3倍,プロセッサの動作周波数は1GHz以上,メモリーは1Gバイト以上となっている。

 DPMを使ってバックアップ/復元を実際に試してみた(図2[拡大表示])。DPMはActive Directoryで復元機能を利用するエンドユーザーなどを認証するため,最初にActive Directoryへ登録する。次に,バックアップ・データを保存するディスクを割り当てた後,バックアップ対象のファイル・サーバーに専用のエージェントをインストールする。管理者権限があれば,遠隔操作でファイル・サーバーにエージェントをインストールできる。

 この後,ファイル・サーバー上のバックアップ対象の共有フォルダを指定すると,すべてのデータがDPMにコピーされる。これ以降は,差分データだけがDPMに送信され,DPM上のバックアップ・データと同期する。

 バックアップのスケジュールでは,完全なコピーを作成するタイミングと,シャドウ・コピーを作成する時刻を設定する。DPMでは,最短で1時間おきに完全なコピーを作成可能できる。更新頻度が高いファイルは[1時間ごと]を選択すれば,最悪のケースでも1時間の更新が失われるだけで済む(図2の画面)。シャドウ・コピーは,1日に8個まで作成でき,最大で64個まで管理できる。例えば,1日当たり4個のシャドウ・コピーを作成する場合,最大で16日前のデータまでさかのぼって復元できることになる。

 このほか,クライアントからの復元を有効にしたい場合は,DPMサーバーで[エンドユーザー回復]を有効にして,クライアントに復元用のエージェントをインストールしておく。DPMは,ウィザードやナビゲーション機能が充実しており,一連の設定はスムーズに進められた。

 設定終了後,バックアップが順調に進むと,図3[拡大表示]に示したDPMサーバーのコンソール・画面上にシャドウ・コピーのリストが増えていく。コンソールでは,ファイルを復元したり,レポート機能でディスクの使用率などを表示したりできる。

 図4[拡大表示]は,クライアントからファイルを復元する画面である。共有しているファイルを右クリックして[プロパティ]を開くと,インストールしたエージェントによって[以前のバージョン]タブが追加されており,ここでファイルを復元できる。

今後はExchangeなどにも対応

 DPMのライセンスは,サーバー・ライセンスと,ファイル・サーバーに導入するエージェントのライセンスで構成する。クライアントにはWindowsのCAL*が必要だが,復元操作用のエージェントのライセンスは不要である。価格は未定だが,DPMサーバー1台とファイル・サーバー用エージェント3台分の場合で,10数万円になる見込み。

 10月に出荷されるDPMは,ファイル・サーバーだけを対象にしたものだが,2007年以降に登場する次期版では,Exchange ServerやSQL Serverのほか,SharePoint Servicesなども稼働させたままバックアップできるようになる予定。このほか,OSをインストールしていない状態から復元できるベアメタル回復機能,負荷分散のためのクラスタ機能,大容量のディスクを利用するためのSAN*連携機能を搭載する計画がある。

 一方,サーバー・ベンダーからはDPMをプリインストールしたサーバーが出荷される見込みだ。2005年9月時点では,日本HPが予定しているが,出荷時期は未定である。