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 大塚商会が元気だ。3期連続の増収増益で、2005年度(12月期)は売上高約4000億円(04年度は3724億円)、経常利益率5%超(同4.6%)に達する勢い。03年初めに2000円を割り込んだ株価も8月初旬に1万円を超えた。好調の理由は、拠点営業が顧客への提案・受注活動に専念できる仕組みと、毎月安定的に収益が入るストックビジネスにある。大塚裕司社長を中心に93年から練ってきた「大戦略プロジェクト」の成果が出てきた。

 1954年2月生まれの大塚社長は横浜銀行、リコーを経て81年に大塚商会に入社する。だが、90年に退社しOCR(光学式文字読取装置)ソフトなどを手掛けるバーズ情報科学研究所に移った。「(当時の大塚実社長=現名誉会長と)意見の相違があった。戻るつもりはなかった」(大塚社長)が、92年に取締役として復帰する。バブル崩壊後、収益が伸び悩むなど厳しい経営状態になっていた大塚商会を再び成長路線に乗せるためである。

 当時、大塚商会は(1)取扱商品の増加、(2)在庫の増加、(3)借入金の増加、(4)提供するサービスの多様化、(5)売掛金の増加、(6)業務の重複、(7)人員の増加、などの問題を抱えていた。本社は現場の実態を把握できない、つまり顧客のニーズがつかめない状態になっていた。そこで大塚社長は抜本的な体質強化に取り組むため、93年から若手社員10人弱と「大塚商会のあるべき姿」の検討に入った。その答えが98年にスタートとした大戦略で、(1)企業会計原則に沿って売上計上する基準に変える、(2)拠点営業を後方支援する仕組みを築く、(3)経営の意思決定を的確に行い、その結果に対して責任を負える体制にする、の3点を掲げた。

 具体的には、「架空計上ができないなどバランスシートをきれいにする」ことを重視した。拠点ごとに異なっていた計上の仕方を、受注は納品場所が確定してから、売り上げは商品が出荷したら自動計上される仕組みに変えた。加えて、各拠点にあった顧客情報、在庫、売り上げ管理など様々な機能を本社で集中的に管理。業務の重複問題を解消し、営業拠点を提案・受注に特化させた。いわば銀行の事務センター的な機能を持つ体制にした。例えば売り掛けは請求・回収センター、在庫関連は物流センターや配送センター、初期不良管理センター、提案書や見積書の作成は営業支援センター、仕入れは購買センターなどとした。「営業を後方支援すれば顧客との実面談の時間を増やせる」というわけだ。

 顧客ニーズをつかむために顧客情報の一元管理も実施した。SPR(セールス・プロセス・リエンジニアリング)と呼ぶ情報システムを01年に稼働させ、顧客のプロフィールから取引履歴、提案状況、要望という“顧客の過去、現在、未来”を分かる仕組みを築いたという。「科学的な営業で顧客満足度の向上と営業の効率アップを目指す」という目標を掲げた結果、営業効率は飛躍的に向上した。大戦略がスタートとした98年度の社員1人当たりの営業利益は50万円弱だったが、SPR稼働時の01年度に100万円を超え、04年度には約250万円に達した。今期は300万円を超える勢いだ。

 もう1つの成長の源泉がストックビジネスの拡充だ。従来からのハード保守に加えて、99年に立ち上げたオフィス用品など間接材のオンライン通販サイト「たのめーる」の売り上げは、04年度に前年度比40.4%増の463億円、05年度中間期も30%超という高い成長を続けている。新規顧客開拓にもつながる「たのめーる」の仕組みを応用して、大手企業向けに直接材の調達業務を支援する「たのめーるプラス」も05年4月から本格的に開始した。契約ユーザーは8月初旬で25社、年内に100社の獲得を目指している。1社当たり月間5000万円から数億円を「たのめーるプラス」経由で調達すれば、手数料収入が近い将来、数十億円に増える可能性もある。

 「気合い、根性で業績は上がらない。ITを使えば業績はよくなる」(大塚社長)。各種機能のセンター化、SPRというIT武装化で、大塚商会は自らIT活用の成功体験を作り上げたともいえる。