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 営業・SEの統合やコンサルティングの前線投入が、大手ベンダーの最近の戦略となった。SI失敗から転じて、攻めのビジネスに向かうには、まず顧客からソリューション案件を引き出さなければならないからだ。



 富士通は10月7日午後、東京蒲田の富士通ソリューションスクエアに業種別ソリューションビジネスグループや地域ビジネスグループ、およびサポート、プロダクトグループなどから幹部300人を集め、初の「プロセス改革全国大会」を開催した。

 昨年6月から始まった富士通の文化大革命、いわゆる営業・SEの組織統合による「ソリューション営業体制」が、業種から地域まで行き届いたため、いよいよ全社一丸となり「ソリューションビジネス革命(SBR:ソリューション・ビジネス・レボリューション)」を全国展開するための決起集会だ。主催は、SBRの推進役であるマーケティング本部である。

 ここで言う「プロセス改革」とは、顧客へのアプローチからソリューション案件を引き出し、提案・契約までの一連の営業・SEの行動様式を指す。それをソリューション時代に相応しいスタイルに変革し、周知徹底するとともに実践に移すのが狙いである。

 富士通はここ数年、証券界や投資家から業績見通しを下方修正する“常習犯”の烙印を押され続けてきた。社内用語で「仕損」と呼ぶ複数年にわたる採算割れSI(システムインテグレーション)が重なり、一時は4桁億円を突破し、売り上げや利益の当初予想を大幅に引き下げていたからだ。

 その主な原因は、激しい競合に見舞われたとはいえ、営業の安値受注やSE部門の高コスト体質からくる両者の軋轢や責任のなすり合いだった。しかし、その根っこには持ち前のガンバリズムだけではどうにもならない市場の大きな変化が押し寄せていた。

 もはやハードを売るだけでは顧客の乾きを潤すことはできず、また単に自社の商品とサービスを組み合わせた“ソリューションビジネス”でも、結果的に自社ソリューションの押し売りのようなもので同じである。

製品含めソリューション革命

 富士通は「顧客の課題の発見と解決」という本来のソリューションビジネスの遂行を、営業・SEという縦の組織が阻害していると判断した。それを打破し、共同責任を負いつつ、チームプレーやコラボレーションで顧客の期待に応えるため、営業・SEの組織再編に踏み切った。

 これに伴い、「アカウント制度(顧客担当制)」を敷き、前線を固めた。対象顧客は当初650社から始めて、現在は1000社となった。富士通のソリューションビジネス担当である間塚道義専務は「ソリューションビジネスとは、結局“顧客起点”に尽きる」と話す。顧客を「1つのプロジェクト」として再定義したわけだ。

 優良顧客に対して富士通がダイレクトに営業・SEのチームを組んで徹底的にサポートする。1つの顧客からのボリューム増大を狙うワン・ツー・ワン営業体制に移行したのだ。1000社で富士通のIT売り上げの60%を占める。

 営業・SE統合の背景には、水平分業で事を進めるオープンシステム全盛時代にもかかわらず、営業の意識が従来型のスタイルに埋没したままだったことが挙げられる。これは自社プロダクトの採用を営業・SEに強いるハードやソフトの製品部門も同様である。マーケティング不在で何にでも手を出すから、高コストで競争力のない製品を生み出し続けるということが少なくなかった。

 今回のプロセス改革は、営業やSEだけでなく、プロダクト提供まで含めてトータルで真の「ソリューションビジネス革命」を展開するという狙いがある。メーカーという基本の部分が強固にならないとソリューション営業の推進は、絵に描いた餅で終わってしまうからだ。

 米IBMのソリューション事業(グローバルサービス部門)の収益が高いのは、サーバーやミドルウエアの競争力が高くコスト的にも有利であるためだ。例えば、ソフト・サービス事業の2004年の営業利益率は、米IBMが13.9%なのに対し、NECが9.4%、富士通は5.4%、日立製作所は4.8%にとどまっている。ソリューション時代とは言いつつも、ベース商品の強さが背景にあってのものだ。

NECは再度営業・SEを統合

 営業・SEの統合ということでは、NECも5年ぶりに4月から踏み切った。「評価基準や教育内容が時間軸を含めて違う」というのが5年前の営業・SE分離の理由だったが、再統合したのにはそれなりの訳がある。富士通同様採算割れSI案件の尻ぬぐい先を巡ってのことだった。

 NECの社内ルールに照らすと、SI失敗の損失は、たとえ顧客に問題がある場合でもSE部門が被る仕組みだ。しかしそれでは、営業が「売りっぱなし」でも免責となってしまう。結果的に「営業とSEが共同で顧客をキープしたり、開拓する意識が薄れてしまった」と、NECの業務ソリューションビジネスユニット担当である渕上岩雄取締役執行役員常務は話す。1年前から流通業でSEを営業の中に埋め込み、同じ顧客をサポートさせた。結果が上々だったので2月に統合を決定。4月から営業・SE統合組織の業種ソリューションビジネスユニットを発足させている。