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図●魅力ある電子政府の実現に向け経団連は数値目標の設定を求める
図●魅力ある電子政府の実現に向け経団連は数値目標の設定を求める
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「e-Japan戦略は目指すべき姿からはほど遠い」---。日本経済団体連合会(経団連)は、効果が見えない電子政府などに対し厳しい評価を下した。IT戦略本部が検討を始めた2006年度からの次期戦略に対しては、具体的な成果目標値の導入を迫る。

 e-Japan戦略に対し経団連は10月18日、「次期ICT国家戦略の策定に向けて」と題する提言を公表した。トヨタ自動車や東京海上日動火災保険など15社が参画する情報通信委員会が作成した。

 経団連が、e-Japan戦略に下した評価は、「ブロードバンド環境などインフラ整備は大きく前進したが、IT化によって得られるべき効果に対し具体的な成果が出ていない」というもの。ITの利活用を掲げたe-Japan戦略IIを厳しく批判した格好だ。特に、電子政府・電子自治体、医療、ITS(高度道路交通システム)、IT関連人材の育成の4分野においては、「(最終利用者である)国民が実感できる成果がなく、目指すべき姿からはほど遠い」とする。

 中でも、評価が低いのが電子政府・電子自治体分野におけるIT化の効果。インフラ整備は進んだが、「国民からみれば、まったくと言えるほどIT化により便利になったという実感がない」(経団連)。

 例えば、不動産登記や年金の受給申請など国民が各省庁に出す申請では、申請手続き全体の97%がインターネット経由のオンラインで処理できるようになった。ところが実際には、従来と変わらぬ郵送による申請がほとんどだ。全省庁が保有する汎用的な電子申請システムの利用率は2003年度に0.7%で、2004年度もそこから大きな前進はない。

 電子申請の利用が進まない理由を経団連は、「業務プロセスを見直さないまま電子化だけを進めた結果だ」とする。その上で、業務プロセスやシステムの見直しを促すには成果目標値の導入が必要と迫る。具体的には、(1)許認可件数を半減する、(2)不要な業務の統廃合やアウトソーシングにより業務処理効率を5年間に4割以上高める、(3)その業務にかかわる職員の総人件費を3割削減する、ことだ([拡大表示])。

 数値化できる指標でe-Japan戦略を評価しようとする動きは、IT戦略本部下の評価専門調査会の方針とも合致する。同調査会も年内には、評価結果を公表する。経団連が政府に求めた数値は、「政府自身が掲げる目標を若干、厳しくしたもので、実現可能性は高い」という。

 目標達成に必要な施策も提言した。組織・業務の面では、e-Japan戦略を予算権限を含めトップダウンで仕切れるような機能の設置や、それに基づいた業務プロセスの改革。IT導入の面では、各種手続きの個人認証に利用できる共通IDの付与、行政機関をまたがるシステムを接続するポータル・サイトの構築などだ。

 しかし、ポータル・サイト構築を除けば、いずれも電子政府で本来やるべき内容を繰り返したに過ぎない。政府は、改めて電子政府に本腰を入れることを迫られている。